内容説明
名奉行が輩出した江戸時代。彼らによって残された大量の裁判記録の中から、男女間の性的な事件・犯罪に対する裁きと仕置をまとめたのが本書である。粋な町民文化の象徴と思われがちな「色ごと」だが、不義密通はもちろん、婚前交際ですら、奉行書で一旦裁きにかかると、死刑や追放といった厳しい刑罰が待っていた。おおらかに性を楽しんでいたように見える江戸庶民。しかし実際は、身分差別や儒教による秩序原理によって縛られ、恋愛においても殆ど自由がない生活を強いられていたことが、この「色ごと仕置帳」から見えてくる。
目次
第1章 江戸の罪と罰
第2章 密通いたせし者は
第3章 手込めの儀につき
第4章 春をひさぐ女
第5章 心中は恋の終わりか
第6章 女犯せし僧は
第7章 殴る亭主
著者等紹介
丹野顕[タンノアキラ]
1940年、東京都生まれ。東京教育大学文学部卒業。出版社に勤め、百科事典・歴史辞典などの編集者を経て、文筆活動に入る。戦国・江戸時代の庶民の生活史・精神史を中心に、本名及びペンネーム淡野史良の名で執筆
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感想・レビュー
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にく9
18
大学の頃に日本法制史の講義を受けていたので、そのながれで。色ごとについては今以上に厳罰(当たり前か)で、大学当時に読めていればよかったな。女性に対して厳しすぎるよね。2015/05/02
棕櫚木庵
16
1/2) 本棚を掻きまわしていて出てきた本(2003刊).細かな固有名詞などは適当に流したが,最初の方の江戸時代の司法制度や犯罪に対する姿勢について面白く読んだ.以下,印象的なことをいくつか.▼2代将軍秀忠の意向により,刑罰については成文法を作らず習慣を尊重した.やがて判決記録が残されるようになり,吉宗の時代に成文法が制定された.しかし,交付されたのは,三奉行,京都所司代,大阪城代だけで,判決を書く留役《とめやく》らは,ひそかに筆写して用いた(p.15以下).2024/08/02
でろり~ん
0
しかしまあ、よく調べましたですねえ。色ごとねえ。2025/03/22