内容説明
ユートピア思想とは何か。古代より人々は理想社会を様々に模索した。桃源郷の夢から哲人政治、共産主義思想、民主主義、自由主義社会。だが社会主義経済の消滅、資本主義経済の破綻などを経て、理想は遠のいた。日本でも、連合赤軍事件、三島由紀夫事件、そしてバブルの破裂などが起こり、ユートピア思想はその力を失った。本書は著者の海外、特にロシア体験を織りまぜながら、ユートピア思想の消滅と、その再生を考察したものである。
目次
第1章 60年代のユートピア
第2章 ユートピアの諸類型
第3章 地滑りするユートピア
第4章 消費社会とペレストロイカ
第5章 二十一世紀のユートピアは
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アトレーユ
9
社会主義・共産主義の思考/目線を理解しながら自由経済社会で名を挙げた人だからこそ、の視点で描かれている。良し悪しを綴るのではなく事実(と思われること)をあげながら考えを現しているのがマインドマップのようで興味深かった。経済色の少ない社会論史、みたいな感じ?2024/11/06
Humbaba
1
古代より常に人々が理想にしてきた社会,それがユートピアである.社会主義や共産主義はユートピアとして登場したのだが,結局は破綻してしまった.また,それを打ち破った資本主義も,うまく行っているとは言いがたい状況である.2012/01/13
とおる
0
。「原爆許すまじ」という叫び声が、本当に生かされるためには、ナチズムや日本の帝国主義やアメリカの原爆投下を生んだ近代、現代の産業社会の害毒へのはっきりした眼差しが必要なのだ。そうした眼差しを持つためには、それぞれの国の市民、国民である前に、人間であることが求められる。そうであってこそ「新しい世界秩序」を求める条件が整うのではないだろうか。2008/11/17