内容説明
雅楽とはなんだろうか?「ああ、神社の音楽でしょ」などと言い切られてしまうと、僕はちょっとがっかりしてしまう。雅楽とは音楽だけではない。思想であり、哲学であり、天文学であり、礼節や作法であり、科学や統計学でもあるのだ。平安時代に成立し、気の遠くなるような歴史と完成度を持つ雅楽の継承者として、いかに雅楽が深い世界観を持っているかを、正しい知識とともに理解してもらいたいと思い、本書を書いた。篳篥、笙、龍笛、箏などの楽器、舞楽の装束、楽曲の意味や構成。雅楽を鑑賞するための手引きとして、東儀秀樹の音楽をより身近に感じてもらうための案内役として本書が活用されたらうれしいと思う。
目次
第1章 雅楽のバイブレーション
第2章 僕が雅楽に出会った頃―宮内庁の異端児
第3章 雅楽、その千四百年の歴史―平安の華麗さのシンボル
第4章 完成をみた雅楽―日本固有の音楽ジャンル
第5章 楽器の織りなす宇宙観―「天・地・空」の調べ
第6章 平安、音の不思議な宇宙―森羅万象と呼応する音
第7章 雅楽のルーツを訪ねて―シルクロードで出会った楽器たち
エピローグ 好奇心のままに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
miwmiw
8
雅楽ってどんなものか知りたくて読んでみましたが、実際に雅楽に携わってきた人だからこその体験談などが面白く、わかりやすかった。宮内庁で6時間も演奏をしつづける儀式があるなんて驚きです。「雅楽のこころ 音楽のちから」と内容がかぶっているところがずいぶん多いので、どっちかでも良かったかも。2013/09/23
OjohmbonX
3
雅楽の基本あれこれは面白かったけど、「機械化され、システム化された生活の中でバランスを見失った現代人」とか「細胞の中にある原始の記憶は失われていない」とか、かつて新築時用の曲があった事について「科学的な根拠は、僕なりに考えられる」と、分子も振動してて音も振動だから波動が共鳴するとか平気で書くところ見ると秀樹はたぶん、全力で自分自身を疑い直す作業をする習慣を持たなかった人なのねと思って哀しくなる。篳篥の音色以上に哀しくなる。その習慣があれば職業由来の特異な思想や認識を正確に見せてくれていい新書になったのに。2013/05/05
寝落ち6段
2
雅な楽曲と書いて、雅楽。1500年の歴史を持つ雅楽師の家系であり、雅楽界の異端児である著者の体験談を交えた雅楽の真髄本。雅楽の基礎知識は勿論のこと知れる。本書で最も重要なのは、「雅」という概念ではないか。世界中にいろいろな音楽があり、楽器がある。しかし、十二音階、楽器の形状など似通った所がたくさんある。古来、人間は自然の中に音楽を感じ、自然と調和して生きてきた。雅楽は指揮者不在で行われる。自然を感じながら、自ら調和させていく。それが「雅」でなのだろう。現代日本では果たして「雅」に触れられるだろうか。2014/02/14
カネコ
1
○2010/09/16
aoko
0
平安時代から受け継がれてきた雅楽の奥深さにおどろいた。「打ち合わせ」とか「千秋楽」がもとは雅楽の言葉と知って面白かった。2014/09/16
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