内容説明
古里の尾道を中心に映画を撮り続けてきた著者は、日本映画界の中でも独自の視線を持っている。それは尾道という小さな町を大切にすることで世界が見え、自分の少年時代を活かすことで、現在や将来を創造し得る、という考えである。だからこそ、やさしい言葉で語られる少年時代の思い出が、同時にするどい文明批評にもなってくる。映画を見ることで人々が幸福になってほしいと願う青春映画の第一人者の、映画への限りない愛をこめたヒューマン・エッセイ。
目次
はじめに 映画監督、本を書き始めるので、いろいろ夢見たり、覚悟したりする。―この書物の性格と、ぼくの、役割について。
序の章 映画監督、旅に出て、いろいろ見たり、考えたりする。―ぼくの映画が、始まるとき。
第1章 映画監督、映画を観て、いろいろなことに気付き、考える。―映画というものの、本当の面白さとは。
第2章 映画監督、映画を語り続け、更にいろんなことに気付き、考える。―表現の自由と、その抑制について。
第3章 映画監督、自らの映画を振りかえり、いろいろ考えたり、明日を思ったりする。―ぼくは何故、映画を作るのか。
終りの章 映画監督、本を書き終え、ここでいろいろ考えたことについて、それが次にどのような映画を作り出す力となり得るか、を考える。―明日に繋がる物語、とは何か。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
39
テレビコマーシャルや映画監督として活躍する著者。彼が青春時代からどのように映画と関わってきたか、た映画とはなにか、映画を創るとはどういうことかなどが 平易な文章で書かれていて読みやすかった。淀川長治氏や黒澤明氏と話したことや、黒澤明の記録映画に関わった時のことも書かれていた。2015/09/02
takao
3
ふむ2024/06/23
桑畑みの吉
2
先月(2020年4月)に82歳で亡くなった大林監督、本書はその20年前の2000年に出版されている。当時公開されたばかりの『スター・ウォーズ・エピソードⅠ』をメインの題材にした映画論、リスペクトする黒澤明や淀川長治両氏のこと、大林マジックと呼ばれる演出の秘密、少年時代からCMディレクターを経て商業映画監督になるまでの逸話等々が語られている。この本を読んだ上で大林監督の作品を観れば新たな発見があるかもしれない。2020/05/17
けぴ
2
度々繰り返し触れられる、淀川長治さんの語録「21世紀はな,科学は大勝利,だけど人間は大敗北。」そんな世の中で豊かな人間性を取り戻すために大林さんは映画を撮っているんだな、と感じました。2015/04/07
亀野亜祐美
1
〇花も実もある絵空事と根も葉もない嘘八百 〇淀川長治さんがいう昔の映画の人情とマナー 〇恋人たちは傷つけあい許しあって愛をおぼえる 〇アメリカ映画史の変遷と私が感じたこと 2012/06/14