集英社新書
沖縄の旅・アブチラガマと轟の壕―国内が戦場になったとき

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  • サイズ 新書判/ページ数 222p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784087200362
  • NDC分類 210.75
  • Cコード C0221

内容説明

沖縄県本島南部にはガマとよばれる自然洞窟がいくつもある。半世紀前の戦争中にこのガマは避難壕として軍・民双方に使用されていた。本書に登場する「アブチラガマ」も「轟の壕」もそうした避難所のひとつだった。ガマでなにが起こっていたのか。人びとの忘却の彼方にあったこれらガマの記憶をたどる石原教授たちの調査行は、取材開始から25年の歳月を要することになる。半世紀をへて、よみがえる真実とはなんだったのか?裁かれざる「犯罪」は放置されたまま、闇のなかに眠るのか。「洞窟の惨劇」はいま姿を現そうとしている。

目次

第1部 アブチラガマ(糸数壕)―陣地・病院・軍民同居の洞窟(洞窟陣地壕―1945年2月~4月30日;南風原陸軍病院糸数分室―1945年5月1日~6月2日;軍民一体化―1945年6月3日~8月22日)
第2部 轟の壕―日本兵が支配した洞窟(沖縄県庁職員;女子防空監視隊員;避難民)
補遺編 沖縄戦の経過

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

澤水月

29
切った四肢を食べさせろとひめゆり隊員に迫る傷病兵。轟では友軍による幼児虐殺… 証言で沖縄戦の「どこ」が特異で悲惨なのかよくわかる、日本軍と島民のあり方。現地見学する前に資料として読み実際に中を見ると暗黒、湿度、足場の悪さなども実感。現在はガイド説明必須で見られるので可能なら現地を訪れ生の声を聞くことお勧め。調べると本書の芯の研究聞き取りなどは宗教団体青年部の学生らがしており、その団体と関連する政党がいま与党とはどう考えたらいいのか。恐らく採用されなかった証言、体験もあるだろう…知ろうとし続けたい2017/09/30

kan

23
沖縄戦の証言本はいくつか読んできたが、こちらは社会学者視点の研究という一貫した立場から、複数の証言を組み合わせ、学生との現地踏査を長きにわたり継続したご苦労の賜物。冷静な筆致と信頼のおける聞き取りとで、軍官民共生のガマの状況がよくわかる労作だ。アブチラガマには何度か入ったことがあるが、こちらを読んでから行けたらよかった。Ⅲ期に分けた壕内図はさまざま想像させ、胸が苦しくなるが、証言とひとつずつ付き合わせながらしっかり読ませていただいた。沖縄修学旅行の事前学習資料として生徒に紹介しようと思う。2024/10/25

二人娘の父

10
映画「生きろ〜島田叡 戦中最後の沖縄県知事」にも証言者として登場する著者。アブチラガマと轟の壕という、2つのガマを研究した内容で、新書とはいえ読み応えのある著書。ガマの内部の立体地図などに、その成果があらわれている。見学の際には必ず読んでから行きたいものの一冊だろう。轟の壕から住民が脱出した際のエピソードが典型だが、沖縄県民のなかに「軍隊は住民を守らない」という教訓を残したことが、よく分かるものになっている。戦争は国民のためでなく、国家によって行われる。そのことを教えてくれる研究である。2021/04/18

sasha

9
沖縄戦関連の作品を読むたびにいたたまれなくなる。本書は25年に渡り、体験者の証言と調査の末に書かれた「あの時、ガマで何が起きていたか」の貴重な記録である。沖縄戦前から日本政府は沖縄を捨て石として考えていた資料が存在したことの証言もあり、改めて日本が犯した過ちの大きさを思い知らされた。軍民が混在した避難壕から早期の脱出が認められていたのなら、もっと多くの人が命を落とさずに済んだかもしれないと思うとやり切れぬ。沖縄に行かねばなるまい。そこで起きたことを知った上で、沖縄に行かねば。2018/04/14

Takao

5
2000年6月21日発行(2003年6月7日、第2刷)。「私たちは文字にされた内容に想像力を働かせ、戦争体験者に近づく努力をすることができる。そのことによって戦争体験を擬似体験、追体験し、戦争を起こさない努力ができる人間に形成されるのではないだろうか」著者の後書きの言葉である。本書に収録されている数々の証言を読み想像力を働かせると心が痛くなる。それでも伝えていかなくてはならない、と思った。1941年、首里出身で、沖縄国際大学教授(当時)の著者。本書は17年にわたる代々のゼミ生や証言者の方たちの協力の賜物。2023/01/08

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