出版社内容情報
とある別荘地の森にひっそりたたずむカフェ〈ベイベリー〉。
ごく普通のカフェだが、水曜日は店主から招待状を受け取った特別な客のためだけに営業し、『願いの叶うランチ』が提供される。ただし店については口外禁止、願いを叶える対価として必ずなにかをひとつ失う。視力、寿命、若さ――人によってさまざまで選択はできない。
萌衣は、一年ほど前から住み込みで〈ベイベリー〉のホールスタッフとして働いている。会社を辞めて実家に戻る直前、山で遭難しかけたところを店長の玲介に助けられたのがきっかけで、事情があって彼の婚約者のふりをする仕事も引き受けている。そんな萌衣には、どうしても思い出せない記憶があって――?
【目次】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
21
山で遭難しかけて店長の玲介に助けられ、別荘地の森のカフェで働くことになった萌衣。店主から招待状を受け取った特別なお客様たちと巡り合う連作短編集。水曜日は特別な客だけに『願いの叶うランチ』が提供される日。男性に妻が遺した宝石箱の中身、失言からSNSのフォロワーを大きく減らしたインフルエンサー、夫が癌で闘病中の妻の願い、そして萌衣自身が記憶を失っていた理由。それは代償を払ってまで叶えるべきなのか考えさせられるエピソードでしたが、いつの間にかかけがえのない居場所を得ていたことに気づく結末はなかなか良かったです。2025/09/17