出版社内容情報
時は大正十一年、五月。かつて夜闇に紛れて暮らしていた妖怪が人の世にも広く周知されて久しい。人の世に迎合し、自身の性に逆らってでも人と並び立とうとする妖怪がいる反面、大昔と変わらず人を餌と認識し、襲う妖怪も後を絶たない。
祖父と暮らす鬼籠野いろはは、名門女学校の生徒という以外に、もうひとつの顔があった。帝都を騒がせる妖怪を捕縛する組織“勝烏”の一員なのだ。相棒である人狼ロウと仕事の報告に本部を訪れると、老舗仏具店ミツクラ店主の屋敷で起きている怪異を解決するよう命じられた。しかし店主の満倉倫史はいろはを頭ごなしに怒鳴りつけ、怪異の詳細を説明してくれない。息子の享史も様子がおかしくて…?
期待の新鋭が贈る、大正あやかし退魔帖!
【目次】