出版社内容情報
【感涙のノベル大賞準大賞受賞作!】
――甘さがわからなくても美味しいやつ、作ります。
「甘味だけを感じられない」という味覚障害の大学生・茜。そんな茜が住むアパート「みなと荘」に、料理上手の男子高校生・千裕が引っ越してくる。彼がいつも振る舞ってくれる美味しいおすそ分けを食べるうち、少しずつ食事の楽しみを見いだしていく茜。優しくて健気な千裕の背中を見ていると、どうしても昔の愛犬・ちーちゃんの姿が重なってしまい……。
一つの食卓が二人の過去を繋ぐ、ぬくもりと癒しの再生ものがたり。
内容説明
「明日のご飯を楽しみにするなんて、いつぶりだろう」幼少期に甘さの味覚を失ってしまった大学生の茜。そんな彼女を元気づけようと、同じアパートに住む男子高校生の千裕はいつも美味しいおすそ分けを振る舞ってくれる。優しくて健気な彼の背中を見ていると、どうしても昔の愛犬の姿が重なってしまい…。一つの食卓が二人の過去を繋ぐ、ぬくもりの再生ものがたり。2024年集英社ノベル大賞[準大賞]受賞。
著者等紹介
樹れん[イツキレン]
愛媛県在住。『プロポーズは三度目に』で短編小説新人賞の2023年度年間最優秀賞。『みなと荘101号室の食卓』で2024年ノベル大賞準大賞。本作は受賞作を改稿、改題したもの(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ツン
59
愛犬の亡くなるシーンは泣けました。。そして、味覚がその後、そっちの方に変わってしまうとは。。主人公たちの今後が読みたいです。2025/05/05
よっち
23
甘味だけを感じられない味覚障害の大学生・茜。そんな茜が住むアパート「みなと荘」に、料理上手の男子高校生・千裕が引っ越してくる物語。彼がいつも振る舞ってくれる美味しいおすそ分けを食べるうちに、少しずつ食事の楽しみを見いだしていく茜。優しくて健気な千裕の背中を見ていると、どうしても昔の愛犬ちーちゃんの姿が重なってしまう中、アパートの住人や大学内での交流も広がってゆく展開で、苦手なものがあると人付き合いも疎遠になりがちですけど、彼との食卓が二人の過去を繋ぎ、世界が広がってゆくぬくもりと癒しの優しい物語でしたね。2025/03/19
さっきぃ
11
平和そうな表紙とタイトルなのに、中身はけっこう重かった。甘味を一切感じられない味覚障害の茜と、茜が暮らしているみなと荘の大家さんの綾乃と孫の千裕。茜の過去と千裕の過去が痛々しくて、それでも優しい2人。甘味がなくても美味しいって言える料理を、と茜に料理を作ってくれる千裕が本当にいい子すぎて、茜も嫌味なく良い人すぎて、茜の母親も正しくという言い方はあれかもだけど、ちゃんと気づいて対処してくれてよかったって思うし、重い話で涙めちゃ流れるんだけど、温かい気持ちにもさせられる。ふと目について購入した本だけどよかった2025/04/16
栗山いなり
9
甘さを感じされなくなった女子大生の日常を描いた物語。てっきりほっこり系の作品かと思ったら意外と重い物語だった。茜が味覚障害になったであろう理由が結構しんどかった。それだけにあの展開は救われた気分になってた2025/04/05
愛書家
9
初読み作家さん。 読み進めていく内に、人間ドラマを書くのがお上手な作家さんだと実感しました。 過去が現在を苦しめる、当事者には分からない苦しみですが、この過去が丁寧に描写されていて、読み応えがありました。 しっかりと読ませる作家さんの一人でした。 2025/03/26