出版社内容情報
北方領主の父を冤罪で亡くし、絶望に心が壊れた家族を人質にとられ、リディエは下級女官として王宮で働かされていた。
そんなリディエのたったひとつの望みは、平穏に任期を終えて故郷に帰ることだった。
ところが想定外の命令が下された。それは婚姻関係が破綻しているスキュイラ王女と婿であるヴァシルの仲を取り持ち、世継ぎ誕生の後押しをしろというものだった。
真面目に任務をこなそうと、まずはヴァシルの国民からの支持を得ようと協力したのだが、それはスキュイラの思惑に反していたようで……?
故郷へ帰ることだけを願っていたリディエの働きは、やがて国を揺るがす動乱へと繋がり、リディエ本人の運命も大きく変化させていき……?
下級女官が駆け抜けた、壮大な王国年代記!
内容説明
北方領主の父を亡くし、王宮で秘書官として働くリディエの望みは、平穏に任期を終えて故郷に帰ること。そんな彼女に想定外の命令が下された。それは婚姻関係が破綻している王女と婿の仲を取り持ち、世継ぎ誕生の後押しをしろというものだった。真面目に任務をこなそうとするリディエだったが、それは国を揺るがす動乱と、リディエの運命が急変するきっかけで…?
著者等紹介
喜咲冬子[キサキトウコ]
函館生まれ。第3回富士見ラノベ文芸大賞審査員特別賞受賞。2019年ノベル大賞佳作受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kagetrasama-aoi(葵・橘)
48
欧州風のファンタジー。表紙絵からは、想像出来ない程骨太な話。架空の国ルナヴィア王国の北部領にあった滅ぼされてしまった領主の娘リディアが主人公。ルナヴィア国の王女とその夫のヴァシルが副主人公。リディアの目線だけで語られるので、他の視点からの物語が読みたいです。特にヴァシル、彼はルナヴィア国内のウロス公国の第三公子でルナヴィア王女の夫。どうしてそんな状況になってしまったのか、背景が知りたかったです。一冊で詰め込むのは勿体ないと感じました。面白かったです。2022/03/09
がらくたどん
47
「ライト文芸読むなら」と職場の同僚に勧められて。「従来のライトノベルより女性主人公が勇敢な話が多い」んだそうだ。どちらも初心者なので違いは分からないが、国(領)を背負い国(領)民の暮らしを立て直そうと傷つきながらも知恵と勇気で頑張る少女達の壮大なファンタジーでとても楽しかった。森を走り馬を駆り書物を紐解き、苦境にあっても常に次の一歩を考える。とても魅力的な主人公達である。今、純粋な志は少女を主人公にした方が描き切りやすいのかもしれないとも感じた。現代的な依存系暴力の影が落としこまれているのも興味深い。2022/03/05
MATSU
46
とても面白くサクサク読めました。ただ、名前がいまいち一致しないとか、これ誰だっけ?ってありましたが。始めとリディアとヴァシルとの関係が、後半でガラッと変わったのが凄まじい。というか、主人公のリディア以外ほとんどの登場人物が途中から印象が様変わりしていくのが面白い。ただ、リディア側からの見方しかないのでヴァシルがどうしてそうなったのかもう少し掘り下げて欲しかった。ずっとリディアはヴァシルにとらわれてしまっていたのかな?2022/10/13
よっち
41
北方領主の父を冤罪で亡くし、絶望に心が壊れた家族を人質にとられ下級女官として王宮で働くリディエ。婚姻関係が破綻しているスキュイラ王女と婿ヴァシルの仲を取り持ち、世継ぎ誕生の後押しを命じられるファンタジー。平穏に任期を終え故郷に帰りたいがためにヴァシルに協力するリディエと、思惑に反するその行動に目を付けるスキュイラ。それを起因として国を揺るがす動乱へと繋がり、運命が大きく変わるリディエが直面する構図は何とも皮肉でしたけど、しっかりと向き合って決着をつけてみせたその覚悟と結末にはぐっと来るものがありました。2021/11/19
ひぬ
29
北部領主の父を処刑され、家族を人質に取られ王宮で秘書官として働くリディア。任期を終えて故郷に戻るのを夢見る中、想定外の命令が下され、宮廷内で冷遇されていたスキュイラの夫・ヴァシルの仲を取り持ち、世継ぎ誕生の後押しをする羽目に。様々な政治的思惑の間に挟まれたリディアが国の動乱の目となっていく展開は良かったです。舞台が王宮を離れ、北部領地に移ってから特に面白くなりましたが、ペースが速い上に情報量が多く、後半は少し苦戦しましたが、少し切ないラストもあり、全体的に好印象でした。スキュイラとの関係性が一番好きかな。2022/01/26