出版社内容情報
男神と女神によって作られたという神話の島・十津島。
薬師だった父の志を継ぎ、自身も薬師となった少女アサは、大陸からの先進知識が集まるというクマデの町を目指し旅していた。
父の遺言に従ったのだが、十津島には不穏な空気が漂っていた。
石の武器と革の甲しか持たない島へ、鉄の鏃と剣を持ち、鉄の甲をまとった騎馬の軍勢が大陸からやって来たのは二十余年前。
以来、島の北西部に国を興した大陸勢力の影響で、島は緊張状態にあった。アサは不運にも旅の途中で、島人が馬賊と呼ぶ大陸からの侵略者の奴婢狩りにあい、捕まってしまう。
不要な危険を避けるため男装しており、中性的な外見だったことから宦官と勘違いされたアサを待っていたのは、重労働と劣悪な生活。
だが、ある青年と出会ったことから、アサの運命は大きく変わりはじめ……?
内容説明
男神と女神によって作られたという神話のある、広大な十津島。薬師だった父の志を継ぎ、自身も薬師となった少女アサは、女の身では危険も多く侮られるため、いつもは男装していた。アサは父の遺言に従い、島の北側にある、先進知識が集まるという町を目指して旅をしていた。ところが旅の途中、大陸からの侵略者である馬賊に捕らえられ、奴婢とされてしまい…?
著者等紹介
喜咲冬子[キサキトウコ]
函館生まれ。第3回富士見ラノベ文芸大賞審査員特別賞受賞。2019年ノベル大賞佳作受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
40
薬師だった父の志を継ぎ、大陸からの先進知識が集まる町を目指して旅する少女アサ。その途中で馬賊と呼ぶ大陸からの侵略者・辰の奴婢狩りに遭い、捕まってしまったアサが皇王の次男・季晨と運命の出会いを果たすファンタジー。宦官と勘違いされ皇女の側で働くアサが巻き込まれてゆく朝児に対する根強い差別と辰の後継者争い。薬師として生きたいと願うアサの願い、それを理解してくれる季晨との出会いと惹かれてゆく想いがあって、数奇な運命が激動の展開に繋がりましたけど、乗り越えた先の信念と想いの末に導き出された結末が印象的な物語でした。2020/12/23
秀玉
22
この作家さんのNO'1作品は「流転の貴妃」らしいが、この作品もすごい。読み始めは、分かりにくさと説明が多く、これが欠点かと思ったが半分をすぎたあたりからはらはらドキドキの一気読み。私の感想は個人の思いなので、物語の詳細ではないのでご容赦を。最初は頁を何回も戻った。言葉の意味、どういう地理関係かを把握するためだ。私の大好きな作品「図書館の魔女」は地図がついていたが、この作品もそれがあれば読み易かった。島なのか半島なのか、北の南半分とか書かれても、理解が追いつかない。この物語はそこが大事なのだ。最後の結末は?2022/07/19
ぐっち
21
男装の薬師アサが、父の遺言で北の知人を目指す旅の途中で辰の国につかまり…。政治のやり取りも過去からの宿命も李晨のたたずまいもよくて、乗り過ごしそうになりながら読んだが最後の選択がオレンジ文庫っぽい。私もう昔の人なんかなあー。2023/12/02
はなりん
21
天涯孤独となった薬師のアサ。殺されそうになったり、奴婢にされたり、前半の重苦しさから、李晨との出会いから、出自の謎や恋愛、アサがどの様な選択をするのか、ドキドキワクワクしながら、楽しめました!李晨とくっついてほしかったけど。両思いなのにね。2021/04/29
豆乳くま
15
『流転の貴妃』からの作者読み。流転~はコミカルとシリアスが絶妙だったがこちらはどシリアス。辛い、過酷すぎる運命。中華風と日本風が混じった複雑でオリジナリティな世界観。薬師の父に教育され亡き後も父の意志を継ぎ旅に出たアサ。大陸からの侵入者辰国人の奴婢狩りに捕まり奴隷となってしまうが。とにかく運命が過酷、次々明かされる真実が更に過酷。辰国皇が唯一の理解者だが一緒に居られない。いてもいいじゃん、アサ、と地団駄踏みたいラストでした。2021/05/01