出版社内容情報
遠田湊には「秘密」がある――。
穏やかな港町の学園で、湊は司書として働いている。
と同時に、幼なじみの凪くんを手伝ってもいる。
遠田家の"家業"とでも呼ぶべきものだ。
……石段の先、鳥居を潜ると二人が暮らす小さな洋館、海月館(くらげかん)が現れる。
そこは海神(わだつみ)を祀る場所、死者の集う館。
死んでも忘れることのできなかった後悔を抱えて、今宵も客人が訪れる……。
湊は、たゆたう海月たちの向こうに死者の記憶をみる。
切ない想いを海に還す、葬送のミステリー!
内容説明
遠田湊には秘密がある―。美しい海月の姿をした海神信仰の根付く穏やかな港町で、湊は司書として働いている。と同時に、幼なじみの凪と暮らす海月館で、家業を手伝ってもいる。死者たちの後悔を紐解き、海に還すのだ。今宵もまた、さまよえる魂がひとり―。それはやがて、静かな町で起きた凄惨な通り魔事件の暗部に繋がり!?哀しくも優しい葬送のミステリー!
著者等紹介
東堂燦[トウドウサン]
1月21日生まれ。新潟県出身。『薔薇に雨』で、2013年度ノベル大賞佳作受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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よっち
28
穏やかな港町の学園で司書として働く遠田湊。そんな彼女と幼馴染・凪が一緒に暮らす小さな洋館・海月館に死んでも忘れることのできなかった後悔を抱えて客人が訪れる葬送ミステリ。湊の先輩司書だった櫻子と図書委員の吉野、「私が朝香を殺した」と告げる二人が抱えていた秘密、妻が殺されてから気づいた夫の後悔、病死した兄と双子の妹の複雑な関係、訪れた死者たちの後悔に向き合い、真相を解き明かしてゆく湊と凪。そんな二人の関係もまた過去に縛られたものに思えましたけど、様々な後悔に向き合ってきた湊の選択がなかなか印象的な物語でした。2020/08/04
ちょん
20
不思議な雰囲気漂う一冊。本編に何も関係ないのですが、登場人物の名前に同じ音があるとすごく読みにくい(笑)あれ、どっちがどっち?と。男女差の少ない名前だと余計に。私の読解力が低いだけか( ᷄ᾥ ᷅ )2024/01/12
梨愛
6
美しい海月の姿をした海神信仰の根付く街で幼なじみの凪と暮らす図書館司書の遠田湊。家業は死者たちの後悔を紐解き 海に還すこと。海月館に訪れる魂の後悔を紐解いていくのにおどろおどろしい空気はなく、生と死の繋がりと別れを描いている。2025/02/09
うさぎや
6
湊と凪の行き着く先になにかあるのか、あるいはなにもないのかわからないけれど、きっとその手を離さないんだろうなということだけはわかる。切なくて、苦しいけれど、どこか美しい。2020/07/25
よっしー
3
う~ん…結局湊と凪の過去(湊の友人の事も含め)がちゃんと書かれていないので何か物足りないというか…。もちろん描写の端々から想像はつくけど。遼斗ももっと絡んでくると思ったのに残念。個々の話は良かったんだけどね。2020/11/07