出版社内容情報
高校生の鹿乃は、蔵にある“いわくつき"の着物や帯の管理を亡き祖母から引き継いだ。ある日、祖母が懇意にしていた骨董店の店主から、祖母が祖父に宛てて書いた「恋文」の存在を知らされて!? 第3弾。
内容説明
蔵にある“いわくつき”の着物の管理を、亡き祖母から引き継いだ高校生の鹿乃。ある日、祖母が懇意にしていた骨董店の店主から、祖母が、祖父に宛てて書いたという恋文を渡されて…?一方、鹿乃の兄・良鷹は、野々宮家の別邸にこの時期だけ現れる、風鈴草の着物を着た女性について調べていたが…。京都、下鴨が舞台。古い物に宿る想いをひもとく、温かな人情譚。
著者等紹介
白川紺子[シラカワコウコ]
三重県出身。同志社大学文学部卒。雑誌Cobalt短編小説新人賞に入選の後、2012年度ロマン大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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- 評価
京都と医療と人権の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
れみ
314
シリーズ3作目。表題作は、鹿乃の祖母・芙二子が祖父に宛てた手紙が出てきて明らかになる「うなり声のする帯」の謎。若い頃のやきもち焼きで素直じゃないおばあちゃんが可愛くてきゅんとする。「金魚が空を飛ぶ頃に」の着物の持ち主は人間じゃないんじゃないかとまで想像してしまった展開もありつつ満寿さんと梨々子のやりとりにウルっとした。「山滴る」では春野の曲者っぽいところや慧の過去に関わる部分が垣間見えてきてこの先が色々気になるなあ。「真夜中のカンパニュラ」は良鷹とほぼ同時くらいに庭に隠された秘密に気づいてゾワッとした。2016/04/02
SJW
312
今回も4つの昔の想いを紐解くアンティークミステリー。1~2つ目の話は鹿乃と慧のペアでの謎解きで、3つ目は鹿乃と春野、4つ目は真帆と良鷹のペアで謎解きが進められる。下鴨アンティークの面白さはミステリーの謎解きだけではなく、美しい京都の四季折々の移り変わりと草花の描写が花を添える。それぞれのカップル(本人はその気ではないが)のほのかな想いは今後どうなるのかとても気になる。しかし、4つ目の真夜中のカンパニュラではショッキングな悲しい話となりやるせなかった。2017/11/23
ももたろう
217
大好きなシリーズ!梨々子のお母さんのトコで野々宮家のことを世間がどう見ているかを知って、だから良鷹と慧が過保護に鹿乃のことを心配するのかなぁと思った。もし鹿乃と慧が結ばれたとしてもいろいろ言われちゃうのかと思うと心配です。再登場の春野だけど、鹿乃の瞳を覗き込む場面に私もゾクッとしてしまった。逆にその時の春野の瞳を覗いてみたかった。いつもどこか冷めてるし、とても暗いものを感じる…なんでなんだろ。慧と父親も1巻「アリスと紫式部」の中で慧がめずらしく声を荒げたコトが気になってます。いったい何があったのかなー。2015/12/27
ううち
168
装丁が相変わらず素敵。祖母のツンデレっぷりを発揮したラブレターがとても可愛らしく、その流れからの慧と良鷹の慌てぶりも微笑ましい。春野さんがこれから2人とどう渡り合うのか楽しみ。妹の知らない兄の姿もミステリアスで良かったです。琥珀糖や夏蜜柑のシャーベット、水羊羹、レモン酒など夏っぽいオヤツも素敵。次巻が待ち遠しい。2016/07/17
七色一味
153
読破。世間では既に4巻目が出ているというのに(^_^;)ということでシリーズ3巻目です。アンティーク着物の謎解きは、正直私の好むところではないのではありますが、行ったことがない──いや、修学旅行では中学高校とお世話にはなっているし、大学の(友人の)ゼミ旅行でもお世話にはなってはいますが、そんなトータル10日にも満たないような滞在期間ではうかがい知ることもできないような「京都」がこの本の中にはある、ような気がして、作品のキモ以外のところがいつも気になっているのです。2016/08/16