感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
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1985年発行。日本SFの歴史でおなじみの作家によるアンソロジー。自分としてはタイム・パラドックステーマの作品に興味をもって読んだ。広瀬正「敵艦見ユ」は、ただ一人大正生まれの世代だからこそ、確信をもって焦点を絞って書いた作品だろう。冒頭2作を書いた横田順彌・森下一仁だけが戦後生まれで、文体も読みやすい、というところに時代を感じる。これ自体がタイムトラベルみたいなものだろうか。ラスト3作だけでページの後半を占めていて、時間犯罪者とそれを追うタイムパトロールの追跡ドラマ。小松左京「幼児誘拐作戦」のオチが見事。2023/07/20