内容説明
竜泉地区核燃料再処理工場の事故から十年。事故で両親と故郷を失ったタロは、老医師の里中のもとで暮らしていた。ある日タロは、女性カメラマンの葉山と出会う。竜泉に住む幻の蝶の写真を撮るのだと語る葉山に、タロは惹かれていき、いつしか自分も蝶の存在を信じるようになる。が、葉山の仕事が何者かに妨害されていることを知って…。二〇〇二年度ロマン大賞受賞作。
著者等紹介
倉世春[クラセハル]
1975年5月11日生まれ。青森県在住。北海道薬科大学卒業、現在薬剤師。「祈りの日」で2002年度ロマン大賞佳作受賞
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感想・レビュー
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くまちぃ
1
核燃料処理施設事故の後の話。故郷が無くなるって嫌だなって思った。 コバルト読者層に合わない表現が時々あって、「え、こんなの話に必要なの。少女向けじゃないわ」って思いながら読んでしまったわ。コバルトがBLも出してるレーベルだとしても。 原発事故とか考えるには良いかもしれないけど、ゲスい部分で台無し。再読はないなー2019/07/22
音子
1
作者さんの雑誌掲載作品が大好きで、それがファンタジーなどではなかったのでこちらの著書を読んでみました。正直、雑誌の短編の方が良いかな。こちらは男子中学生の性に対する興味などがちょっと…この内容に必要だったのか?と疑問に。でも、出来ればまた作者さんのファンタジーでない作品を読みたいのです。違うジャンルの執筆に路線変更したから無理かなあ。2017/06/01
三毛招き
0
悪くはないけど、コバルトの購買層考えると……とはいえ、コバルトはたまにこういうボール球出してくるんだけど。2010/08/09
永山祐介
0
核燃料再処理工場の事故により故郷を失った少年と、その跡に住む蝶を撮りに来たという女性カメラマンのお話。期待していたよりもずっと良かったです。故郷を、両親を、大切なものを失くしたやるせなさや、女性カメラマンに惹かれていく過程が丁寧に書いてある感じで。カメラマンの葉山さんも、生き生きとしていて、目が離せなくなっていくのがわかるようです。……でも、可愛らしさだったら同級生の瑞穂ちゃんのが可愛いと思うけどね(笑)。2002/11/05
茶田
0
題材からしてこれがコバルト…?と疑問に思うものでしたがとっても泣けました。主人公の感情の生々しさが凄い。でもやっぱりこれがコバルト作品であることに違和感を感じます。作品として素晴らしいけれど、少女小説としてどうかと言われると何か違う。でも改めてコバルトの懐の広さを知った気がします。2009/06/18