内容説明
“姫”と“義高”―七歳の少女と十二歳の少年のふたりは、こどもの姿のまま、古都・鎌倉の町で長い長い時のなかを漂ってきた幽霊だ。そんな姫の前に、ある日紫陽花の模様の土鈴を返してほしいと言う女の子・江見里が現れて…。複雑な事情を持つ幼いふたりの亡霊が、悩みを抱えて鎌倉を訪れた人々に、不可思議な体験を見せていく…。せつなくて、ちょっと怖い鎌倉幻想物語。
著者等紹介
倉本由布[クラモトユウ]
1967年6月14日、静岡県浜松生まれ。浜松市立高校をへて、共立女子大文芸学部卒業。1984年春、高二のとき、第3回コバルト・ノベル大賞に『サマー・グリーン/夏の終わりに…』が佳作入選、高校生作家としてデビュー
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感想・レビュー
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Natsumi
4
図書館
rairai
3
再読です。小6ぐらいに買ったやつ。パンドーラの後に買いました。話はすごく個人的には好き。なんだか、ハッピーエンドでもバッドエンドなのかよく分からない感じがいい。姫と義高が純粋に好き同士で一緒に居るわけではなく、憧れや執着、嫉妬が混じっていて歪んでるのが好きだなあ。2013/03/11
よみ
1
ランドセルを背負っていた頃からの愛読書。読みすぎてボロボロ。私を死んでからその後萌えにした罪は深い。2017/09/30
木花さくや
0
懐かしくなって一気に読了。死んだ後も怨念として古都鎌倉を漂う義高と大姫が人間に悪さをするお話と、二人の過去を描いた二部構成。当作品は初恋に殉じた貞女の大姫ではなく、ただただドライな関係の二人が自分の想像と被る。幼い二人に芽生えたのは恋愛感情ではなく、憧れや甘えであったことに共感。怨念になったことでほんの少し自分に正直になれたのなら、例えフィクションだとしても、悲劇の代名詞である二人に少しの希望を感じた。2014/12/07