内容説明
寡黙なとうさん鳥と厳しくもやさしい自然に包まれて子どもの鳥がみた夢は…母を恋う気持ちがやさしさを育むことを静かに語る童話絵本です。
著者等紹介
浜田広介[ハマダヒロスケ]
1893年山形県高畠町に生まれる。早稲田大学在学中に大阪朝日新聞の懸賞新作お伽話に応募した『黄金の稲束』が一等に入選。それを機に児童雑誌『良友』に寄稿を始める。早稲田大学英文科卒業後、『良友』『幼年之友』の編集者を経て1923年より作家活動に専念。『ないた赤おに』『りゅうの目のなみだ』など1000篇に及ぶ童話、数多くの童謡を残し、日本のアンデルセンと称される。1973年に80歳で永眠。1989年故郷の高畠町に浜田広介記念館が開設された
網中いづる[アミナカイズル]
1968年生まれ。伸びやかなタッチと澄んだ色彩で、多くの書籍の装画、挿絵を手掛ける
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
十六夜(いざよい)
16
もうこの世にいなくなってしまった母さん鳥を、栗の木のほらで待ち続けるむく鳥の子ども。ある雪の夜に子どもの鳥がみた夢は…。"一枚の枯葉"にも通ずる叶わない願いが切ない作品。お父さんの優しさも沁みる。2022/02/20
hasemi
16
最初の出会いは保育園の頃、月毎に配本されていた中の1冊。当時はむく鳥の子に自分を置き換えていたのかちょっと寂しいような感情でした。子供時代に手にした本では別な方の絵で、それはちょっと寂しさや冷たさがグッと出て来るような印象。これはもう少し暖かな印象だ。同じ話でも添えられる絵によって随分と印象は違うけれど、最後に小さな暖かさが心に残るのは一緒。2013/07/27
いろ
13
浜田廣介の儚げで温かみあるお話に寄り添うようにふっくら優しい網中いづるさんの絵がここちよかった。身近な鳥ムクドリが全然違うイメージで登場。亡き母をそうとは知らずに待つ子どもムクドリに胸の奥がチリっとする。葉を大切に守る様子には「最後の一葉」を思い起こした。10歳男児の心にはあまり響かなかった。2018/03/04
遠い日
12
網中いづるさんの絵が物語の哀切な印象にぴったり。母恋いの物語の切なさが、読み手の心にじんじん迫る。小さなむく鳥の子が心に宿す母への思い。会えることを夢みて待つ時間。もうこの世にいないことを、まだ子に伝えられない父鳥の苦悩もいかばかりか。季節は冬へ。幻想的な白い鳥の俤を母に重ねる子の哀しみが、紙面から立ちのぼる。ひとときの癒しが子の思いを掬いあげたラストが、ほんのりと温かい。2016/01/04
かっぺ(こと悩める母山羊)
7
「おかあさんは遠くにいるよ」というお父さん鳥のやさしさ。 お父さんも多分そうだったらいいなって思っている。なんとなくお母さんはもう来ないことをわかっているんだけれど、でも来てくれたらいいなと思う子ども。ほらの中の温かさがむく鳥を包んで、優しい夢を見せるお話し。2017/02/01