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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ころりんぱ
46
他の国がどうかは知らないが日本人は自分の国の歴史をあまりにも知らなすぎると思う。敗戦後にガラッと教育が変わったからとはいえ、学校の教科書で教わる戦争だけじゃ不十分だと思う。この巻は開戦から終戦まで、それこそ太宰治、三島由紀夫、川端康成…と、いろんな作品が詰まっていてとても贅沢だった。圧を感じるものが多くて満足。確かに私は歴史を知りたいから読むのだけれど、否応なく生死と向き合ったり、人間の理性や感情が深く描かれたりする、戦争を描いた作品の真摯さが好きなんだなと、浅田さんのあとがきを読んで気づいた。2016/10/18
マカロニ マカロン
16
個人の感想です:A。「平和と戦争」読書会用に読んだが、資料解説込みで791頁、20の短編戦争小説で読み応えありすぎで、足かけ5日かかって読み切った。ビブリオバトルで紹介したら、厚さだけで最下位確定しそうだが、それでも紹介したくなる本。「戦争×文学」は全20巻あるようだが、どれも厚い。第8巻は「斃」のテーマの元、アジア太平洋戦争(日中戦争は別巻のため本巻には含まない)。インパール作戦、アンダマン海、真珠湾、フィリピンなどで地図を片手に読んだ。戦後80年、戦場を語れる人が少なくなり、本書の作品群は尊いと思う2025/08/25
黒豆
9
「戦後からの眼差し」をテーマとしたⅣの4作品が素晴らしい。川端康成の「生命の樹」。戦争が素材となっているにも関わらず、女性の心の微妙な趣や詩情を感じる自然が描写され、川端康成の世界に浸れる。三島由紀夫の「英霊の声」。神がかりになった神主を通じて、英霊が慟哭する。天皇への激しい憤りに、背筋が凍るような思いがした。吉村昭の「手首の記憶」。大きな事件の陰に、小さな悲惨な事件がいくつも存在することに気付かされた。蓮見圭一の「夜光虫」。祖父が孫に語る戦争の記憶。最後の一文は、短編集を締めくくるのにふさわしい。2014/10/21
Louis
3
この巻も戦争とはどういうものなのかを、あらゆる角度から伝えてくれました。開戦時の気持ちの高揚から、祖国を遠く離れた現地の悲惨な状況まで、まるでそこに自分が存在していたかのようでした。 どれも傑作ですが、一番強く印象に残ったのは三島由紀夫の「英霊の声」でした。正しいとか正しくないの話ではなく、日本のためにと思って亡くなっていった方々の強い念みたいなものが滲み出ていました。三島由紀夫が後年右翼の世界に進んでいったのも頷ける気魄のある作品でした。2023/09/03
西野西狸
3
吉村昭さんの小説が一番ぐっと来た。戦争のことはあまり話したくないという人がいるが、それがひしひしと伝わってくる。2014/06/15