ラテンアメリカの文学<br> 石蹴り遊び

ラテンアメリカの文学
石蹴り遊び

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  • サイズ B6判/ページ数 485p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784081260089
  • NDC分類 968

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

zirou1984

37
バップによって全盛期を迎えたジャズは60年代以降、モードという技法によって新たな領域へ突入する。コードではなくモード(音階)を基底とする事で使える和音の数を増やし、自由と浮遊した世界観を獲得した。ジャズへの造詣が深いコルタサルは、南米文学の持つ実験的精神にこの様な和声進行から解き放たれたモード精神をブチ込む事で、普通の進行とは異なるとんでもない小説を作り出した。56章で形成された基調の物語と挿入される100近くの断片。会話も世界観も自由で、どこか浮遊した感があるのはそうした技法からの必然ではないか。衝撃。2013/10/05

長谷川透

30
第一の書物を読み終えた時点で僕は、巨大な隠喩だと語り手が喩えるパリの中に放り込まれた。観念と理想の世界で戯れる主人公に何一つ共感できず、彼を取り巻く周囲の誰に対しても適切な距離をとることはできない。知らず知らずの内に五里霧中の迷路に迷い込み、蹴飛ばされる遊戯の中の石のように僕は、行き先も知らされぬまま転がり続けた。第二の書物は一転し、読者に石が転がる筋道を明示する。しかし、その軌跡は絶え間ない「こちら側」と「あちら側」の往復と彷徨であり、コルタサルの仕掛けた宗教儀式に読者は好奇の内に参入しているのである。2013/01/07

Gotoran

29
1部「向こう側から」(1~36章)、2部「こちら側から」(37~56章)、3部「その他もろもろの側から」(57~155章)で構成。ブエノスアイレス出身孤独な思索者、作家志望のボヘミアン学生オラシオ・オリベイラ(主人公)。その恋人、ウルグアイ出身私生児を抱えた娼婦ラ・マーガ。パリに集うインテリ達の青春群像(1部)、アルゼンチンに戻ったオリベイラと友人夫妻との奇妙な三角関係(2部)、一見付け足しの断片だが、徐々に分ってくる入れ子構造のメタフィクション(3部)。ジャズ、ユングや禅、↓2014/10/26

スミス市松

21
音楽を聴いているときや絵画を眺めているときに、それ自体とはまったく別の何かが、心のうちにわきあがることはないだろうか? 本書はそんな言語の範疇にあてはめることのできない「何か」をその「言語」によって想起させようとする途方もない試みであり、誤解を恐れずに言えば、それまでのコルタサルの短編小説――夢と現実が地続きの同一平面上にあるような、表の世界と裏の世界がひとつに繋がっているような、内包された別の時間が現在を突き破りとめどなく溢れてくるような彼の小説群――はその「何か」のメタファーであったに過ぎない。(続)2012/11/25

志ん魚

21
ある男のボヘミアン的生活と懊悩の物語を軸にしているが、本書は単に物語を伝達するための小説ではない。その内部および周縁に絡まる膨大な思索と意識の流れを通して、抽象や形而上の概念、あるいはそもそも語り得ない、文字にすることもできない「何か」を受け渡し、「読む」ことの意味を変える、極めて反小説的な試みである。本書の仕掛けに従って2度、3度と読むうちに、物語への理解や共感とはまったく違う次元で著者とのシンクロ率が上がっていき、感得するものが変化していく感覚を味わった。グルグルとずっと読み続けたら、いつか。。。2012/03/14

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