内容説明
日本人にとってキリスト教とは、信仰とは…。歴史、風土、文化、言語などの多角的見地から語り明かす体験的キリスト教論。
目次
第1部 イエスの周辺の世界(死海のほとりで;ユダヤ教とヘレニズム)
第2部 イエスの生涯と教え(律法より大切なもの;迷った一匹の羊を探し求める神;永遠の生命)
第3部 原始キリスト教団の発展とそれ以後(イエスはキリストであり、主である;エルサレム教団とパウロの回心;ヨーロッパ・キリスト教の成立)
第4部 キリスト者の生活(素直に合掌しようとする心;キリストと共に歩む)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きゃんたか
17
遠藤周作の「深い河」を読んだ者としては、著者とあの青年の姿が重なり、我が意を得たりとの思いを禁じ得ない。若き日に出会った神への確信のもと修道生活に身を投じ、ヨーロッパのキリスト教に揉まれながらも言語レベルからして拭えない違和感を自覚、その後は仏教への理解を深めながら日本的キリスト教の探究を志す。キリスト教の「悲愛」を禅宗の「無」あるいは「余白」のようなものと捉える視点は際どくも鋭い。一見すると無いように見え、その実は存在を存在たらしめるものとみる風の神学は、世俗化の深刻な今こそ知るべきではないだろうか。2022/02/10