- ホーム
- > 和書
- > 文庫
- > ティーンズ・ファンタジー
- > ヒーロー文庫
内容説明
右目の魔女は、待ちくたびれていた。いつまで経っても自分を狩りに来ない魔女狩りの遅すぎる到着に、憤りさえ覚えていた。それでも右目の魔女は、魔女狩りへの協力を誓った。右目の魔女が、私が、君に恋をしたから。最後の希望に殺意を抱かなければならない、魔女狩りが陥った最悪の自己矛盾を解消するため、右目の魔女は提案する。「これまでに君がされて嫌だったことを、私がやるのはどうかしら」「…拷問ですね」。魔女狩りは語り始める。長靴、オーストリア式梯子、掃除屋の娘…凍える寒い冬、廃墟に監禁され、絶え間なく浴び続けた暴力と苦痛についての記憶を―。エグくてエモくて愛しい、拷問と日常のガールミーツガール。
著者等紹介
中野在太[ナカノアルタ]
『康太の異世界ごはん』(ヒーロー文庫)でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
半熟タマゴ
10
強い力を持つ『右目の魔女』と死を望んでいる『魔女狩り』の物語。痛々しい拷問パートとほのぼのとした日常パートのギャップが不思議な作品でした。想像していたよりも拷問シーンがしっかりと描写されていて読むのがちょっとしんどかったですね…。読む人を選ぶ作品だとは思います。2022/07/05
真白優樹
7
人魚と呼ばれる怪物の死により魔女が発生した世界で、殺意を返す魔法を持つ魔女と魔女狩りが出会い始まる物語。―――殺意を見せて愛へと変えて、一人は二人に変わりゆく。 鮮烈で陰惨で、それでいてどこか甘く。何と言っていいのか分からぬ一言で面白さを言うのは中々に難しい物語であり、昨今のラブコメとは何線も違う面白さのある物語である。生きていく、この狂った世界でどこまでも。死ぬ為ではなく進む為に。この先どんどんと壊れ往く世界で彼女達はどう生きるのか。でもきっと、二人ならば楽しい筈。 うん、とても面白かった。2022/07/01
いりあ
6
「康太の異世界ごはん」シリーズの中野在太が2022年に発表した長編小説。横浜を舞台に、いつまでも来ない魔女狩りに憤っている魔女と魔女に殺してほしい魔女狩りの出会いから始まる物語。百合×拷問という危険な組み合わせの作品です。当然のように人体損壊描写が出てくるので取り扱い注意です。エモエモな日常パートとグログロな拷問パートの高低差が凄くて読んでいる間は酔ってしまいそうでした。でも、読み終わったあとは不思議と爽やかな感じがありました。誰にでも進められるわけではないですが、設定とか世界観も含め面白い作品でした。2023/05/12
リク@ぼっち党員
5
エグい。アップダウン激しすぎて戻しそう。これが刺さる人はいるんだろうけど、あまりにも私のカバーしているジャンルからかけ離れすぎて正常な評価が困難。2022/08/15
史
4
結局のところセカイ系(あたしの定義では大人の尻拭いをさせられる少年少女の話)。あと拷問とガール・ミーツ・ガール。クソみたいな大人(はたしてどれが真実でどれが虚構なのかはあやふやだ)に翻弄され続けた少女たちの乾坤一擲の話と解釈できないこともない。だってエゴと独善に満ちてますからね、なんかそれっぽいこと言ってますが、どっちの方がましかって言われたら、そりゃ同じ目線になってくれる人でしょう。それとは別に、名もなき大人で幾人か良心を持っているのが実に良い。ということは、支配者の理想なんてクソ食らえ、なのかも。2023/08/03