家の匂い町の音―むかし卓袱台があったころ

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  • サイズ B6判/ページ数 191p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784072311202
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0095

出版社内容情報

子殺しに親殺し、街で袖摺りあえばキレる、いつのまにこんなにすさんでしまったのだろう。日本の家からちゃぶ台が消え、家の匂いと町の音がなくなったころからではないか…

「七人の孫」「寺内貫太郎一家」「時間ですよ」など超ヒットテレビドラマの演出家として一世を風靡し、現在も良質なドラマ作りで活躍する著者は、15年程前から小説、エッセイにも非凡な才能を発揮し多くの作品を発表。「蝶とヒットラー」でドゥ・マーゴ文学賞、「一九三四年冬―乱歩」で山本周五郎賞を受賞。その著者が雑誌「室内」に連載したエッセイ「室内室外」を中心に、歳を重ねるごとに哀惜の念をつのらせる昭和40年ごろまでの日本のくらし、住まい、そして忘れかけてしまった日本人の心を描いたエッセイ集。☆雪見障子、床の間、仏壇、干したばかりの布団の匂い、踏み切りの音などなど、かつては日本のどこにでもあったなつかしい光景やくらしに切々たる思慕の情を寄せて描く傑作エッセイ集。深いが重くなく、ときには涙さえさそうしみじみとした筆致は、最初の一行からぐいぐい引き込まれ、時間のたつのも忘れさせる。☆「願わくば畳の上で」「むかし電話がなかったころ」「掛け軸を買おうかな」「家のあちこちにあった薄明かり」「本棚からつぶやきが聞こえる」「生まれてはじめて住んだ家」「夕暮れの町にたたずんで」ほか。全34本。

内容説明

むかし、どこの家にも独特の匂いがあり、町には生活の音があった。いつのころからか、そんな匂いや音が消え、日本人の心情も変わってしまった。名手・久世光彦が失われゆく日本人の住まいや暮らし、そして心ばえに、切々たる愛惜と思慕の情を寄せた珠玉のエッセイ集。

目次

願わくば畳の上で
むかし電話がなかったころ
私はいったい誰でしょう
掛け軸を買おうかな
還暦をひとりあれこれ思案して
二軒長屋と火焔太鼓
五歳で漱石をそらんじる
家のあちこちにあった薄あかり
本棚からつぶやきが聞こえる
布団の上で跳びはねる〔ほか〕

著者等紹介

久世光彦[クゼテルヒコ]
1935年、東京生まれ。東京大学文学部美術史学科卒業。東京放送(TBS)を経て、1979年、テレビ制作会社カノックスを設立。演出家。1992年、『女正月』の演出により芸術選奨文部大臣賞を受賞。その他、作詞・脚本・評論・エッセイなど幅広い分野で作家活動も行っている。1998年紫綬褒章受章
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まる

41
平成生まれの私は知らない時代。それでも、確かにあったのだと感じられました。古いホームドラマのようなノスタルジックな空気に浸れました。2017/02/18

みっちゃん

18
向田邦子と久世光彦の随筆は、いつも祖母の家を思い出させる。母と一緒に見ていたお正月の「新春向田邦子スペシャル」というドラマがとても好きだった。戦前から戦中の普通の日本人の慎ましやかな生活と、丁寧な暮らしぶり、ふと現れる心に秘めた熱情に心揺さぶられた。自分で体験したわけでもないのに、とても懐かしい「あの頃」を思わせる好著。2015/07/04

アキ

15
昭和10年に生まれた著者。その頃の町の風情や音、家々から漂う夕餉の支度の匂いから呼び覚ます、日本の原風景。中でも、木と紙で出来た家の佇まいから感じる光や影を独特の思いで受け止めていた少年時代の話が興味深い。数々の記憶を披露しながら懐かしむ様は、自分の生き方や感じ方の原点となったものを一つ一つ大切に手に取り確かめるような作業にも感じます。まるで、それまでの年月よりもはるかに先が短いことをただ淡々と受け入れているかのようで…。読んだ後は、自分だったら何が原点、原風景と言えるだろうか、とふと考えさせられました。2016/12/07

夏子

5
昭和を感じる懐かしい物が沢山詰まった一冊。日本の家屋や丁度は低い視点からの見た目を考えて作られているという指摘になるほどとなりました。2019/05/08

qv-yuh

4
久世光彦亡くなって久しく、また樹木希林も亡くなったというニュース。昭和も遠くなりにけりです。2018/09/18

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