出版社内容情報
東京大学在学中の1955年から57年にかけて執筆された、四つの小説「暗い部屋からの旅行」「火山」「黒いトラック」「旅への試み」。このうち、「暗い部屋からの旅行」「旅への試み」は昨年11月、大江が大学時代の下宿先で保管されていた、原稿用紙に書かれていた。一般的な文壇デビュー作とされる「奇妙な仕事」に先立つこれらの作品は、大江の生来の才能と、その後の作家的な発展への示唆に富むものだ。大江文学研究史としての価値はもちろん、若き魂が生み出した輝かしい原石のような小説を、ぜひとも味わってほしい。
【目次】
内容説明
怪物作家、誕生前夜。平穏な物語が動き出す。大学時代の下宿先で70年眠っていた未発表原稿2篇。そこにはすでに「世界文学」の印が刻まれていた。1958年「飼育」で芥川賞を受賞したのちのノーベル賞作家が、文芸誌デビュー前の55年~57年に執筆した新発見小説2篇と単行本初収録作2篇を収録!
著者等紹介
大江健三郎[オオエケンザブロウ]
1935年1月31日~2023年3月3日。1954年、東京大学文科二類入学。1958年、「飼育」で芥川賞、『死者の奢り』『芽むしり仔撃ち』『見るまえに跳べ』を刊行(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
keroppi
54
大江健三郎のデビュー前に書かれた短編小説4編をおさめている。東大在学中の下宿先から見つかった2編もあり、その頃の大江健三郎の思考が見える貴重な作品集。あの年齢でこんな考えをめぐらし、文章化しているのは驚くばかり。その後の作品に現れるモチーフも書かれていたりする。ただ、文中に抜けや棒線で消された文章もあり、大江自身が見たらどう思うのだろうとも思ってしまった。2026/10/03
vivahorn
5
本作品は大江健三郎が東大生だった頃、下宿先の家主の加藤シノさんの遺族の下に保管された原稿2作品を含めて書籍化したもの。大江健三郎のデビュー作「奇妙な仕事」よりも前に執筆されている。学生時代に試行錯誤しながら小説を書くといった側面も感じられ、当時の学生活動も垣間見れる内容となっている。4作品の主人公の心の動きは基本的に共通するものがある。特に人間の尊厳に対する拘りに固執する考え方が文章の端々に散りばめられているのが特筆すべき点である。2026/10/01
chuji
4
久喜市立中央図書館の本。2026年8月初版。「火山」(1955年)「黒いトラック」(1956年)は、当時の学生雑誌に掲載されており、「暗い部屋からの旅行」(1955年)と「旅への試み」(1957年)は新発見。本書は四編の短編。大江さんの著作は「洪水はわが魂に及び」「雨の木・・・」等学生時代にかなり読みましたが、当時から難解で、「大江を読んでる」と読んだ事自体がステイタスでした。2026/09/11




