出版社内容情報
戦争は、いつか終わる。
でも、はてしなく何かを奪い続ける。
あなたの隣で生きていたかもしれない彼女たちの
声なき声が聞こえますか?
都会に暮らす「わたし」の日常を大きく変えた、横浜空襲・大阪空襲を描く二篇
『世界の果てのこどもたち』『伝言』の著者による新たな挑戦!
「穴の中の戦争」
森さんちの裏に掘られた防空壕
恋もやっかみも悲しみも愚かさも、小さな社会がそこにあった
「愛子さん」
失われてしまった人生、きらきらしとったはずの人生――
真夏のある日、七十九歳の愛子さんは渋谷に向かう
いまと地続きの「戦争」を描く感動の二篇
【目次】
内容説明
戦争は、いつか終わる。でも、はてしなく何かを奪い続ける。都会に暮らす「わたし」の日常を大きく変えた、横浜空襲・大阪空襲を描く感動の二篇。『世界の果てのこどもたち』『伝言』の著者による新たな挑戦!「穴の中の戦争」森さんちの裏に掘られた防空壕。恋もやっかみも悲しみも愚かさも、小さな社会がそこにあった。「愛子さん」失われてしまった人生、きらきらしとったはずの人生―真夏のある日、七十九歳の愛子さんは渋谷に向かう。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
181
中脇 初枝は、新作中心に読んでいる作家です。 本書は、一億玉砕空襲連作中篇集でした。オススメは、表題作「愛子さん」です。最近戦争&軍備増強の話しか聞こえてきませんが、今こそ軍縮、❤Love&☮Peaceです。 取り急ぎ、本書を英語&露西亜語に翻訳して、頭のいかれた超大国の大統領に読ませるべきです。 https://www.kodansha.co.jp/book/products/00004255152026/07/13
モルク
94
2話の中編。「穴の中の戦争」戦時中町内会という狭い中で求められる一致団結。穴を掘り防空壕を作るところからの共同作業、協力が微力な人、一家は防空壕の中で立場は弱く肩身が狭い。そんな中での子供たちの明るさが救い。表題作「愛子さん」では両親を空襲しかも防空壕で亡くした愛子が脚に大火傷を負う。引き取られた叔父叔母の家でいいようにこきつかわれ厄介払いで嫁にいく。戦争帰りの卑屈な夫に化物扱いされ…戦争は終わっても空襲の被害者には補償はない。むなしさだけが残る。2026/07/16
ちゃちゃ
77
やり場のない憤り、怒り、悔しさ…。救いようのないラストに愕然とした。愛子さんの人生とは何だったのか。凶行に走ることでしか居場所を見いだせなかったのか。幼い頃大阪空襲で父母を失い、自らも足に大やけどを負う。79歳の愛子さんの“戦後“は今もなお続いている。家政婦や付添婦として懸命に働いてきたが、あり得たかもしれない人生との落差を思うと心が疼く。本作は戦争によって深い傷を負った女性の切実な胸中を描いた作品。衝撃のラストは、終わりのない彼女の戦争を、私たちも痛みとして共有すべきだという作者からのメッセージだろうか2026/07/22
ゆみねこ
75
「穴の中の戦争」は横浜が舞台。5軒の隣組の防空壕の中の小さな社会が国民学校2年生の美智子の視点で綴られる。戦争が終わってすべてが無かったことに…。「愛子さん」は大阪、空襲で両親を亡くし、両足にひどい火傷を負いケロイドに。その後の過酷な人生、80歳を目前にした愛子さんの決意ととんでもない行動。空襲がもたらした庶民の暮らしの破壊とその後の生活再建の困難さ。戦後補償の難しさなど考えさせられる1冊。2026/06/21
itica
73
戦時中の体験を描いた2編。「穴の中の戦争」死が常に身近にあると恐怖心が麻痺してしまうのか、防空壕に集まる人々に悲壮感が少ないのが逆に怖い。「愛子さん」両親が防空壕で亡くなり、その後愛子も一生引きずる怪我をして、大きな苦労を背負った。生き残っても地獄だ。同じ過ちを繰り返さないためにも、私たちは戦争の悲惨さを胸に刻んでおかなければといけないと思う。 2026/07/06




