出版社内容情報
異色短篇集『ペンギン村に陽は落ちて』は、小説家の父が小学生の息子に宿題として課された「しょうせつ」の書き方を尋ねられるところから始まる「序文」を冒頭に置く。
その問答を経て、息子は自分の「しょうせつ」でなければ書く意味がないと考えていることがわかり、自分の「しょうせつ」とは自分の好きなテレビの画面に映っていることを書くことなのではないかという考えに至る。そして父子はひたすらテレビに見入ることになる。
結局、息子はいくつものアニメ番組の断片的な感想しか書くことができなかったが、代わりに父親が画面を見ながら自動筆記的に記した文章を息子に渡す。それが『ペンギン村に陽は落ちて』に収められた各篇だという体裁であり、小説家の父親というフィルターを通してアニメが小説に変換される。
「ペンギン村に陽は落ちて」は『Dr.スランプ』の人型ロボット「アラレ」を『鉄腕アトム』のアトムに置き換え、科学の発展と人間の夢の関係を問う。
「愛と哀しみのサザエさん」ではまだ若い人妻のサザエさんがウルトラマンファミリーの入所する介護施設の職員となり、老いと性愛の問題を考えさせる……といった具合に、1970年代~80年代に人気を博しアニメ化された漫画作品のキャラクターたちの裏に潜んでいる設定を思わぬ方向に発展させることで、小説の登場人物にリサイクルしている。
そして、どの作品も人気漫画の持つテンポの良さと無責任なまでの破天荒さを湛えながら、奇妙な苦みをうっすらまとう、軽薄そうな外見と裏腹に奥行きを感じさせる深みと渋みを備えてもいる。
「その他の短篇」は1987年から2000年に文芸誌に発表された7篇の短篇小説。
「日本野球」「言葉」「正義」「ドン・キホーテ」「日本文学」「ゴジラ」など、作家高橋源一郎にとって重要なモチーフたちと本気で戯れた成果である。
本書に収められた14篇の短篇小説は著者と通念としての文学との格闘の成果であり、現在も色褪せず輝きを放つものである。
【目次】
ペンギン村に陽は落ちて
序文
ペンギン村に陽は落ちて――前編
愛と哀しみのサザエさん
いつか同時代カンガルーになる日まで
キン肉マン対ケンシロウ――愛は永遠に
連続テレビ小説ドラえもん
ペンギン村に陽は落ちて――後編
文庫版あとがき
その他の短篇
愛のスタジアム
ヒズ・ファーザーズ・ヴォイス
「正義の味方」超人マン
「善人」アロンソ・キハーノの遺言
主婦仮面vsキャット・ウーマン
二人友達が来て三時半まで飲んでしゃべっていった
ゴジラ
解説
年譜
著書目録
内容説明
人気漫画のキャラクター、アトムやサザエやキン肉マンたちを普通の人間と同じ扱いで小説に登場させてみたらどうか?という着想は作者の予想を超えて開花した!「小説とは?」とつねに問いつづけ、短篇小説執筆の都度前衛的な表現と端的な面白さの両立を模索したことが、『日本文学盛衰史』などその後の代表作に繋がっていく。更新をつづける小説家の、真の実力が発揮された短篇集。
著者等紹介
高橋源一郎[タカハシゲンイチロウ]
1951・1・1~。小説家、文芸評論家。広島県生まれ。灘中高校時代、詩・演劇に興味をもつ。横浜国立大学経済学部在学中、学生運動で逮捕され拘置所を体験する。以後10年、肉体労働に従事した。1981年『さようなら、ギャングたち』が群像新人長篇小説賞優秀作に選ばれ小説家としてデビューする。88年、『優雅で感傷的な日本野球』で三島由紀夫賞、2002年、『日本文学盛衰史』で伊藤整文学賞、12年、『さよならクリストファー・ロビン』で谷崎潤一郎賞を受賞した。自身の小説執筆に際しては、表面的な小説らしさにとらわれず、言語表現の最前線において格闘しつづける一方、ラジオ・新開・テレビ等のメディアにおいて、あるいは文学賞の選考委員としては、多くの人々に向けて親しみやすい語り口で文学のおもしろさを伝える努力を惜しまない。デビュー後40年を超えて今なお、文学の前衛としてチャレンジをつづける作家である(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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