出版社内容情報
「西洋哲学史」「インド思想史」「中国思想史」……これらを題した書物は無数にあるのに、なぜ西アジアや中央アジアを冠する思想史はなぜ存在してこなかったのか?
人類思想史は、ヨーロッパ・インド・中国だけでは語りきれない。
ユーラシア大陸の中央部から西南部という広大な地域において、何十世紀にわたり言語的一貫性を有した「イラン系アーリア人」たちが、多彩で不可思議で魅力的な思想の数々を次々と花開かせたのである。
古代アーリア人神話、ミスラ神、ゾロアスター教に加えて、まるで別個の伝統であるキリスト教あり、仏教あり、グノーシス主義あり、マニ教あり、ギリシア哲学あり、神秘主義あり、イスラームあり……
紀元前3600年から紀元後17世紀までの5300年にわたる、従来見落とされてきた人類思想史の巨大なピースが、いまここに浮かび上がる!
認識の枠組みを揺るがし、あらたな問いを喚び起こす無二の通史。
[本書より]
ユーラシア大陸の中央部で活動したイラン系アーリア人は、多くの思想を媒介し、相互の境界線上の領域で触媒の役割を果たした。古代アーリア人の多神教時代の神格ミスラ神を地中海世界に輸出したかと思えば、インド仏教と中国仏教の媒介項、即ち、シルクロード仏教の未知数Xとして出現する。また、或る時はギリシア哲学を受容して、これをセム的一神教教理に符合させようと全力を尽くし、或る時はヒンドゥー教の影響を蒙って独自の神秘主義を生み出した(ようにも見える)。……これらの事象をイラン系アーリア人の視点から眺めれば、従来のギリシア思想史、キリスト教史、インド思想史などに対しても、別個の認識の枠組みを得ることが出来るだろう。
[本書の内容]
イントロダクション──人類思想史の中のアーリア思想史
プロローグ
第一章 古代アーリア人の神話の時代──古代アーリア人のイラン高原移住(紀元前三六〇〇年頃)からハカーマニシュ朝の崩壊(前三三〇)まで
第二章 時間神・グノーシス主義・二元論の時代──アレクサンダー大王のイラン侵攻(前三三〇)からサーサーン朝崩壊(六五一)まで
第三章 ギリシア哲学と神秘主義とグノーシス主義の時代──アラブ人イスラーム教徒のイラン高原侵攻(六五一)からアッバース朝崩壊(一二五八)まで
第四章 光の修行道と「古代イランの叡智」の実体化の時代──モンゴル人のイラン高原侵攻(一二五八)からサファヴィー朝崩壊(一七三六)まで
エピローグ
参考文献表
基本用語集
あとがき
【目次】
内容説明
人類思想史は、ヨーロッパ・インド・中国だけでは語りきれない。ユーラシア大陸の中央部から西南部という広大な地域において、何十世紀にもわたり言語的一貫性を有した人々が、多彩で不可思議で魅力的な思想の数々を、次々と花開かせた。古代アーリア人神話にはじまり、ミスラ神、ゾロアスター教、大乗仏教、グノーシス主義、マニ教、そしてイスラーム神秘主義。「イラン系アーリア人」という確固たる視点のもと、紀元前三六〇〇年から紀元一七世紀までの五三〇〇年にわたる巨大なアナザーストーリーを描き切る!
目次
イントロダクション―人類思想史の中のアーリア思想史
プロローグ(「アーリア思想史」とは;先行研究;本書のコンセプト)
第一章 古代アーリア人の神話の時代 古代アーリア人のイラン高原移住(紀元前三六〇〇頃)からハカーマニシュ朝の崩壊(前三三〇)まで(ウクライナ・南シベリアから中央アジアへ;古代アーリア人の世界観;ミスラ神の影響力;パミール人、ワハーン人、オセット人の神話;「ザラスシュトラ」の宗教改革;中央アジアからイラン高原へ;マグ神官団とハカーマニシュ朝の大王たち)
第二章 時間神・グノーシス主義・二元論の時代 アレクサンダー大王のイラン高原侵攻(前三三〇)からサーサーン朝崩壊(六五一)まで(ギリシアからの衝撃―ヘレニズムの奔流;マズダー教の帝国―アルダフシール一世の登極;ゾロアスター教ズルヴァーン主義の国教化―ズルヴァーン神話の台頭;メソポタミアからの衝撃―マニ教のグノーシス主義;シリアからの衝撃―ユダヤ教・キリスト教;インドからの衝撃―仏教の伝来;ゾロアスター教二元論の書物化―聖典『アヴェスター』の確立と二元論;中央アジアのアーリア人の多神教)
第三章 ギリシア哲学と神秘主義とグノーシス主義の時代 アラブ人イスラーム教徒のイラン高原侵攻(六五一)からアッバース朝崩壊(一二五八)まで(二元論的ゾロアスター教から一神教イスラームへ(七‐一〇世紀)
イスラーム神秘主義の成立(九世紀)
イスマーイール・シーア派のグノーシス主義(九‐一一世紀)
イブン・スィーナーの東方哲学(一一世紀)
『シャー・ナーメ』のアーリア神話(一一世紀)
異邦人感覚、光の神、愛の神秘主義、二元論的逆説(一一‐一二世紀)
スフラワルディーの東方照明哲学とグノーシス主義小説(一二世紀))
第四章 光の修行道と「古代イランの叡智」の実体化の時代 モンゴル人のイラン高原侵攻(一二五八)からサファヴィー朝崩壊(一七三六)まで(イーラーン・ザミーンと近世ペルシア語圏の拡大;ナジュムッディーン・クブラーの色彩の神秘主義(一三世紀)
ナジュムッディーン・ダーヤ・ラーズィーmp黒い光(一三世紀)
アラーゥッダウラ・スィムナーニーの色彩の修行道と予言者論(一四世紀)
イブン・アラビーの存在一性論とそのスコラ哲学化(一三‐一四世紀)
十二イマーム・シーア派のイラン国境化(一六世紀)
インドに於ける古代アーリア文化の復権(一五‐一六世紀)
古代イランの叡智の具現化(一六‐一七世紀))
エピローグ
著者等紹介
青木健[アオキタケシ]
1972年、新潟県に生まれる。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。現在、静岡文化芸術大学教授。専門は、イラン学(ゾロアスター教研究、マニ教研究、イスラーム研究)。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。



