出版社内容情報
いわゆる赤線、著者が描いてきた「抹香町」、玉の井やその他私娼街など、娼婦の街に生きた女たちの姿を、感傷を排して描く「娼家の灯」。
小田原をはじめとする西湘地域の時代的な変遷をたどった「西相今昔」。
徳田秋声や宇野浩二ら長太郎が交友した作家たちの姿を活写する「面影」。
当時の社会への批評や自身の日常にまつわる出来事を綴った「週言」。
自らをもクールに見つめ容赦なく素材として使って描きつづけた私小説作家ならではの、感傷を排した筆致でありながら、どことなくユーモアの気配漂う昭和文士の文章の芸が様々な角度から存分に堪能できる、講談社文芸文庫オリジナル編集の傑作随筆集。
【目次】
目次:
1 娼家の灯
2 西相今昔
3 面影
4 週言
著者に代わって読者へ 川崎浩子
解説 齋藤秀昭
年譜 齋藤秀昭
著書目録 齋藤秀昭
内容説明
その筆歴を通じ私小説を懸命に書き続けた川崎長太郎は随筆にも意欲を見せた。小田原や東京などで通いつけた私娼窟の女との交流を中心に綴る「娼家の灯」。郷里の変遷と風物を多角的かつ実感的に記した「西相今昔」。徳田秋声、宇野浩二、牧野信一、中山義秀―大切な師友を活写する「面影」。七〇年代末の社会を批評的に見据えた「週言」。人生の精髄を生き生きと描く、傑作随筆集。
目次
娼家の灯
西相今昔
面影
週言
著者等紹介
川崎長太郎[カワサキチョウタロウ]
1901・11・26~1985・11・6。小説家。神奈川県生まれ。小田原中学を中退して、家業の魚商につく傍ら、同郷の民衆詩人福田正夫に師事、左翼的作品を発表。1920年頃より上京、帰郷を繰り返す。23年、萩原恭次郎、岡本潤らと「赤と黒」創刊。震災後アナーキズム運動から離れ、25年、徳田秋声の推挽で「無題」を発表、文壇デビュー作となる。私小説家をめざすが、不遇な時代が続く。38年、すでに単行本『路草』と『朽花』を刊行していたが永住の覚悟で帰郷、実家の物置小屋に棲み、創作に専念。54年、娼婦たちとの関わりを描いた『抹香町』で「長太郎ブーム」が起きる。62年、結婚。私小説一筋の生涯を貫いた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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