出版社内容情報
失踪の赤裸々な事情を経験者たちが大いに語る!
失踪―それは現在の人間関係や社会的立場を捨て、新たな環境で別の人間として生き直すことである。一見するとわれわれの日常から縁遠いように思われる失踪だが、現在日本の行方不明者は年間9万人、およそ1000人に1人にのぼる。本書はそんな近くて遠い存在である行方不明者や残された人々に取材し、失踪の理由から実行の手順、現在の生活までの一部始終を記した本である。失踪者はいかに生き、何を考えているのか? 人生がつらい、逃げたいと思ったことが一度でもある人に捧げる、失踪のリアルを通じて生きづらさと向き合う術を考え直す新しい人生論にして幸福論。
*本書目次より抜粋
まえがき
第1章
30年間実家に帰らず父と死別したAV男優
第2章
父の失踪 18歳から風俗で働く娘を誰よりも愛していた
第3章
突然、妻がいなくなったーー認知症行方不明の課題
第4章
薬物でスリップと失踪を繰り返す
第5章
持ち前の正義感で人を傷つける事件を起こす
第6章
オカマバー、闇金、ホストを経験し、フランスでスリ集団として暮らす
おわりに
【目次】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ
141
失踪、勇気さえあれば誰にでもできるという。過酷ではあるが。関係性をリセットし別人になる。そしてまた別人に。一度や二度ではない失踪の行く末に幸福はあるのだろうか。6人のエピソードを収録。逃げた側、逃げられた側にも人生がある。母親に言い負けないために多くの本を読んだ。その言葉が心に突き刺さってしまう。十人十色、街中を行き交う人の中にもいるのだろう、失踪中の者。夜に太陽が昇り、朝になると沈む。常識の範囲内で考えようとすると混乱するばかり。踏み外してまた踏み外して、ようやく見えてくるものもあるというが。心が痛い。2025/09/05
Roko
31
この本では、自分の意志で失踪した何人かにインタビューをしています。親から逃げた人、暴力団や闇組織から逃げた人、どちらにしても見つかったらマズイという意識で逃げています。警察の身元不明者のカウントでは、借金や犯罪がらみで自分の意志で失踪する人だけでなく、認知症で行方不明になる人も含まれており、近年はこちらの方が多くなっています。徘徊老人の問題はいろいろなところで話題になっていますが、実はかなり深刻な問題なのです。#ルポ失踪逃げた人間はどのような人生を送っているのか #NetGalleyJP2025/09/19
葵
28
#NetGalleyjp.失踪した経験のある人々の、経緯や体験談が語られている。結構簡単に失踪ってできてしまうし、みつからないものなのだなと驚いた。この本に登場する人達はインタビューに答えられているということは、元気に失踪を乗り越えている、やり手?の失踪経験者のせいか、共通して、真面目に仕事をしていた時期には成果をあげていた。↓2025/09/18
こまごめ
15
かなり面白かった。失踪された側の人も出てくるし辛いなと共感しました。 5章の篠田氏はかなり性格が破綻してると感じました。6章の酒井氏はどこでも生きていけるタフさを感じました。仕事でヤバめの人と出会う事もあるのですが、篠田氏、酒井氏よりはマシなので少し勇気が出てきました。2025/09/21
みじんこ
8
失踪(行方不明)状態になるのも理由がある。事実は小説より奇なりなアウトロー人生・家庭環境の連続。やる気持ちがあれば失踪は可能なのだと思ったし、しぶとく生きる人もいるようだ。失踪を「人生の一歩」と捉えるようになったという著者の考え方も、各人のエピソードを読むと理解できる。むしろ薬物等に依存していた時代の方が現実からの逃避ではないだろうか。第3章の認知症に伴う失踪は誰もが他人事ではなく、今後ますます増えていくことが想定されるため今から更なる周知が必要だろう。望むなら可能な限り繋がりを取り戻せる未来が良い。2025/09/23
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