出版社内容情報
デビュー作にして、第173回芥川賞候補作! 第68回群像新人文学賞受賞作! 「おれ、死んでもうた。やから殺してくれへん?」彼の胸に耳を当てた。するとたしかに心臓が止まっていた――。シェアハウスに住まう二人と一羽の文鳥。一つ屋根の下、同居人の蓮見から初瀬にもたらされた、気軽で不穏な頼み事。夢と現、過去と現在、生と死。あちらとこちらを隔てる川を見つめながら、「わたし」が決断するまでの五十五日。
【目次】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シナモン
90
芥川賞候補作。群像にて読了。 む、難しかった…🥲ふわふわした物語。難しいけどこの内容をよく理解したい、もう一回読んでみようかな、と思わせる一冊だった。 2025/07/09
イカまりこ
8
群像で。正直かなり難しかった。読みやすいのにぐるぐる脳内で言葉が巡って、言われたこと書いてあることを全部そのままに受け取っていいのか悩みながら読んでた。読点の使い方が新鮮で、小学生の頃国語の授業で習ったことをぶち破ってるのが好きだった。改行もいい。間というか、一瞬脳が休息する感じ。思い返せば作中にはいろんな鳥が出てきて、タイトルはソレっぽい。でも読了間近、タイトルに添うように読もうとしてしまったのが本音。古川さんの選評になるほどとなった。蓮見の視点で事の発端を知りたくなってしまう。2025/06/28
ひとりっ公
4
群像6月号にて。群像新人文学賞の古川日出男氏の選評がすっきりした。人間の身体的感覚と認知の狭間にある「わからなさ」への追求という作業に関してこの作品は卓越していると思う。身体的感覚と認知は必ずしも一致しない。その間にあるものを夢と表現した点で芥川賞候補になるだけの美しさは備わっているのだと思う。個人的には鳥の部分があまりよく理解できなかった。象徴としての鳥をどのように表現したかったのだろうか。2025/07/17
アンノウン
4
不規則なリズムを奏でる文体にこじらせ系のキャラも相まって結果秀作というオチ。まぶたは閉じることが自然なのかひらくことが自然のなのか。この一文に惹かれるなら是非手に取ることをオススメしたい。物語はシェアハウスに暮らす二人、蓮見と初瀬を中心に描かれているわけだけど、視点が自由過ぎるぐらいあちこち飛び回る。過去と現在と夢と現実と人と文鳥と。全編通してその境界が曖昧で、それらあわいを漂うようにして物語は進行する。白昼夢の中にいる、いたような読者を呼び戻す魅力ある終末。再読もありなん、なんべんでも愛でる。2025/07/16
おーえ
4
文芸誌にて。これも好きな作品。鳥とはなにか、夢とはなにかきっちり描かれていてよかった。自分と異なる身体の時間感覚を脱ぎ着するという表現、旅は夢のようであるという感覚。2025/07/15
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