出版社内容情報
「お客さんに言われたんですよ。盛り塩した方がいいよ。ここ、なんかいるからって」
小説家・岡崎隼人は最新作『だから殺し屋は小説を書けない。』を出版したことをきっかけに、書店員とよく話すようになった。ある日、地元・岡山市の新刊書店を訪れると、店長が盛り塩をしているのを目撃する。数週間後、岡崎は別の書店でサイン会を開くことになったが、そこでも奇妙な体験談が寄せられていることに気づく。
新作が思うように書けず焦っていた岡崎は、担当編集の菱川と話し合い、書店にまつわる怪談を集め、モキュメンタリー調に書き直したホラー小説にすることを思いつく。怪談は続々と集まり、順調に執筆は進んでいたが、寄せられた怪談には共通点があることに気づく。岡崎と菱川は、その共通点を探るため、さらなるネタ探しに乗り出すが、次第に恐ろしい真実に近づいていく。
【目次】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
keroppi
56
【日本の夏は、やっぱり怪談】〈其の三・和洋折衷〉イベントにはちょっとフライング。NetGalleyで読んだので、やはりこのイベントにあげておく。全国の書店から怪談を集めるという企画で様々な怪談が集まってくる。実際元になった怪談がありそう。それに共通する怪異が出てきて、なかなか怖い。書店は元々神聖な場所だったとか、本が霊の依代になるとか、書店ならではの背景も語られる。編集者がだんだん変になっていくところが特に怖い。書店は大好きな場所だが、なんだか怖い場所にも見えてきて困ったものだ。#Net GalleyJP2025/08/06
Roko
24
本を並べていたら、後ろから声を掛けられたような気がして、振り向くと誰もいないのに、なぜかエプロンの紐の結び目がほどけているとか。閉店後、一人でレジ閉めをしている時に、誰かが店内を歩いている音がするとか。一つの店の状況だけでも怖いのに、複数の店で同じようなことが起きるのは何故なのか? 調べていくうちに段々怖くなってきて。フィクションなのかノンフィクションなのか、よくわからないところが、これまた怖いんです。全国の書店員さん、この本を読んじゃダメですよ!#書店怪談 #NetGalleyJP2025/08/06
青
1
百物語的なものを想像していたら、怪談話が一つの線になっていった。でもその正体は知らないほうが健全でいられる。本や書店に怖い感情や怪奇的なイメージなどを全く持っていなかったので、このテーマはちょっと新鮮だった。結局恐怖感情って人の想像しない行動or得体の知れないもの(霊や呪い的なもの)から生まれるのかな。知らない・分からないって感じるための演出が色々施された作品。読んでる時は怖かったけど、読み終わったらそうでもない。私が彼等の謎や正体に執着してないからかな。でも身近な舞台ゆえにフッと思い出して背筋が...。2025/08/06