出版社内容情報
「顔がないんだ、ぬっぺっぽうみたいにさ」
藤沢宿で働くお初は、自分の色男である勝道にそう言った。
「目も鼻も口も耳もない、ぺろりとした顔のそいつが、いつも出てくるんだ」
怖いものなどない破戒僧の勝道だが、なぜか「ぬっぺっぽう」だけは恐ろしかった。
「この悪夢を祓ってくれる、良い神社仏閣はないものかねえ」
勝道は、お初を江島明神の弁財天詣でに誘う。
その地に伝わる哀しい身投げ話など知りもせずに。
【目次】
内容説明
のっぺらぼうの坊主が暗闇で手招きする。三晩続けて悪夢にうなされていた藤沢宿の飯盛り遊女・お初は、間夫の破戒僧・勝道と厄落としに江島明神へ。かつて稚児の白菊が身を投げたという伝説の稚児ヶ淵から島の最奥部へ向かう。岩屋のなかで二人を待ち受けていたのは血塗れの坊主―!?著者初の時代小説。歌舞伎台本「稲荷山恋者火花―小狐丸異聞」収録。
著者等紹介
高田崇史[タカダタカフミ]
昭和33年東京都生まれ。明治薬科大学卒業。『QED 百人一首の呪』で、第9回メフィスト賞を受賞し、デビュー。歴史ミステリを精力的に書きつづけている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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