出版社内容情報
この世は、すべて幻なのです。
現実なんてものはない。
ただ、映っている影だけが見える。
そうではありませんか?
薔薇のパーゴラのある家で、「彼女」は支配的な夫と家政婦と静かな三人暮らしの日々を送っていた。
夫が紹介する英語の家庭教師として、下宿人として、彼女の庭を、彼女の夢を、訪れては去ってゆく男たち。
彼らの死という現実を手放し、幻想とのあわいに生きるうちに、
彼女の心はゆっくりと静かに、躰から離れていく。
比類なき幻想恋愛小説。
内容説明
薔薇のパーゴラのある家で、「彼女」は支配的な夫と家政婦と静かな三人暮らしの日々を送っていた。夫が紹介する英語の家庭教師として、下宿人として、彼女の庭を、彼女の夢を、訪れては去ってゆく男たち。彼らの死という現実を手放し、幻想とのあわいに生きるうちに、彼女の心はゆっくりと静かに、躰から離れていく。
著者等紹介
森博嗣[モリヒロシ]
作家、工学博士。1957年12月生まれ。名古屋大学工学部助教授として勤務するかたわら、1996年に『すべてがFになる』(講談社)で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。以後、続々と作品を発表し、人気を博している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
テル35
52
静謐、なのだろうか? 心は安定を求めるのかもしれないが、感性、感情、思考はアクティブに動いていく。それが、生命の証では?かつて作者は「壮大なる宇宙と存在の路傍に夢見る意思の仄かに微小なるやさしずめ花弁に落ちる滴のごとくなりぬ」と書いた。宇宙と対比すれば微弱でしかない存在である。そして、微弱の中にも宇宙は存在する。2025/08/15
りょうすけ
26
訂正…僕が持ってるのコレ。ずっと登録したまま感想UPしてたの中公文庫の方やった。だが消すのもなー、ナイスくれた皆さんに申し訳ないし。なんか最近読み終わるのあっという間ねんけどー、何回も読んでるから?2025/08/14
kaoriction
18
「彼女」のもとを、訪れ、去ってゆく男たち。彼らの死は夢か現か。それとも、彼女自身が幻なのか。見ている影は。「神様から命をお借りして、この死というものを体験させてもらう。そんなツアーを、人生と呼ぶのだ」。気づけばやはり独特な森ワールド。死をもって借りた命をお返しする。自分が生きているのはまだ借りが残っているからなのだ。焦る必要はない。ひとつずつ丁寧にお返ししてこそ、なのかもしれない。そう思うと、自分のこのツアーも幾分軽く、楽しくなってくるような気がしなくもない?それは彼女の影?谷崎潤一郎没後50年記念作品。2025/08/03
yuui
16
森先生の相変わらずの表現力の凄さよ! このダイレクトに言葉が伝わってくる感じ好きすぎる(/ω\*) このなんとも心地がいい不思議な読後感よ! ほんとに不思議。 神様から命をお借りして、この死というものを体験させてもらう。 そんなツアーを、人生と呼ぶのだ。 誰がこんな文章思いつくん😳 「死」を自殺、殺人、病死、と色んな表現でこんな魅了させられるんや!って思える素敵なお話でした 2025/06/21
Tenouji
11
今、なんとなく読みたくない内容だったので、流してしまう。2025/07/30