出版社内容情報
最期に交わした会話、柩に供えたアップルパイ、死後に読んだ父の手記……そうやって、父の死について書いていくうちに起きた心境の変化は、私の、あるいは、私の哲学の核心に触れるものだった。
哲学者の著者が、父の死をきっかけに書き綴った、喪失と回復の道のりを優しくたどるエッセイ。
「どうしてじいじは死んじゃったの?」
息子の問いに、私はうまく答えることができなかった。
大切な人を亡くしたとき、私たちはどうやってそれを受け止めたらいいんだろう?
【装丁・装画】鈴木千佳子
内容説明
「どうしてじいじは死んじゃったの?」息子の問いに、私はうまく答えることができなかった。大切な人を亡くしたとき、私たちはどうやってそれを受け止めたらいいんだろう。哲学者の著者が、父の死をきっかけに書し綴った、喪失と回復の道のりを優しくたどるエッセイ。
目次
十円玉と骨
死んだらどうなるの
盆踊りの夜に
帰札
聖橋にて
追憶
幸せを感じる練習
死のイメージ―死と孤独α
一周忌
死の抑圧―死と孤独β
喪失の後で
ローリー・ポーリー
生きているうちに、死を語る―死と孤独γ
父の手記
母
献杯
著者等紹介
岩内章太郎[イワウチショウタロウ]
1987年、札幌生まれ。豊橋技術科学大学准教授。早稲田大学大学院国際コミュニケーション研究科博士後期課程修了。博士(国際コミュニケーション学)。専門は現象学を中心にした哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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やすらぎ
159
哲学を専門としている著者が、父との別れを「群像」にて連載。文章にすることでこの状況を少しずつ受け入れていく。目を瞑ればすぐに浮かんできた姿が少しずつ薄れていく現実は、消え去るのではなく我が身に溶け込んでいくよう。「かなしみを忘れていくかなしみ」言葉は時に言葉を超える。人はなぜ死ぬのか、その問いを永遠に辿っていくしかない。世間には形式的な発言をする人がいるが、それぞれの立場で抱く気持ちはその人にしかわからない。そのままでいい。哲学を理解したとして閉ざすことができないもの、感情とはそれほど深く重いものである。2025/05/04