出版社内容情報
江戸時代。両親を亡くした少年・心太は、辻占いをしていた。ある日出会った僧侶のせいで幽霊が見えるようになり…。人との出会いが胸を打つ、感涙必至の時代小説の傑作
【目次】
内容説明
江戸で長屋住まいをする心太は、十歳の時に母を病で亡くしてしまった。以来、いつか母の幽霊に会えると信じて、永代橋の袂で、母が得意だった辻占売りをして暮らしていた。そんなある日、母への思いを引きずり続ける我が子を見かねた父が、辻占売りをやめるように諭してきた。口論になった末に心太は、「おとっつぁんなんか、だいきらいだ。いなくなっちまえばいい!」と叫んでしまう。そうしたら、なんとその日本当に父が事故で死んでしまった…。深く後悔する心太のもとへ、とある坊主が現れ、あの世とこの世の境目へと導く。すると、本当に心太の目に幽霊が見えるようになって―。天と地、生者と死者が交わるとき、小さな奇跡が起こる。心に傷をかかえるすべての人へ届けたい、人情あふれる時代小説。
著者等紹介
麻宮好[アサミヤコウ]
群馬県生まれ。大学卒業後、会社員を経て中学入試専門塾で国語の講師を務める。2020年、第1回日本おいしい小説大賞応募作である『月のスープのつくりかた』を改稿しデビュー。2022年、『恩送り 泥濘の十手』で第1回警察小説新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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itica
62
母を病いで亡くし、やがて父も事故で亡くした11歳の心太は、辻占売りをしていたある日、奇妙な和尚との出会いにより霊が見えるようになる。生者、死者との関わりから生きる意味を学んで行く心太。ああ、深い。深いなあ、人生は。迷いながら悩みながら、でもしっかりと自分の足で歩いて行く心太の明日が見えるような終わり方にほっと一息。 2025/08/04
はる
40
両親を亡くした11歳の心太は辻占いをして生活していた。ある日、風変わりな老僧に出会ったことから霊が視えるように。死んだ両親に会いたいという想いを抱えながら、霊たちを救おうと行動を始める…。麻宮好さんの描く子どもたちはいじらしくて泣ける。老僧との関係も魅力的だ。心太の出合う幽霊たちが優しい人ばかり。思い残りが消え成仏すると、消えてしまうのが切ない。2025/08/06
akiᵕ̈
22
麻宮さんの作品を読み終える度に思うんだけど、麻宮さんが描く子供や家族の姿、人の繋がりというのは何て温かいんだろう。今回も心が洗われ、とても清々しい。母は既に亡くなっていて、自分の放った言葉が父親を死なせてしまったと悔いる心太。そんな心太の前に現れた和尚の導きによって霊が見えるようになってしまい、亡き母がやっていた八卦の占いを通して、相談に来る人たちや、40年も成仏できず彷徨っている侍、武士の子ども、先読みのできる女の子たちの思い残しと向き合っていきながら、今を生きることの大切さを教えてくれている。2025/07/24
みやび
0
☆52025/08/10
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