出版社内容情報
昭和51年(1976年)没の檀一雄、舟橋聖一から平成6年(1994年)没の吉行淳之介まで、冥界に先に旅立った22人の師友に捧げられた感謝と惜別の情。
若き日より老年に至るまで文学を自らの道と定めて険しい道を生きた作家・水上勉が、文学についての語らい、旅、酒席やゴルフなど、さまざまな時間をともに過ごした文士たちを想い、心を込めて綴った追悼文集の白眉。
とくに小林秀雄に7篇、大岡昇平と中上健次には5篇が捧げられており、著者より年長年少を問わないその交わりの深さと追悼の念の痛切さに、読む者として感慨を禁じえないのである。
内容説明
一九七六年の檀一雄と舟橋聖一から九四年の吉行淳之介まで、冥界に旅立った二十二人の師友に捧げられた惜別の情。小林秀雄や大岡昇平から浴びた厳しい叱責や批判が日頃の細やかな心遣いと一体の親密さを伴ったこと、社会派推理小説の先達・松本清張から受けた懇切な教え、親子ほど年少の中上健次との旅の情景―文学者たちの実像が誠実な筆遣いで鮮やかに甦る、珠玉の追悼文集。
目次
檀一雄 昭和五十一(一九七六)年一月(没。以下同様)
舟橋聖一 昭和五十一(一九七六)年一月
吉田健一 昭和五十二(一九七七)年八月
和田芳恵 昭和五十二(一九七七)年十月
柴田錬三郎 昭和五十三(一九七八)年六月
中野重治 昭和五十四(一九七九)年八月
小林秀雄 昭和五十八(一九八三)年三月
石川達三 昭和六十(一九八五)年一月
川口松太郎 昭和六十(一九八五)年六月
川崎長太郎 昭和六十(一九八五)年十一月
中野好夫 昭和六十(一九八五)年二月
山本健吉 昭和六十三(一九八八)年五月
富士正晴 昭和六十二(一九八七)年七月
大岡昇平 昭和六十三(一九八八)年十二月
永井龍男 平成二(一九九〇)年十月
野間宏 平成三(一九九一)年一月
井上靖 平成三(一九九一)年一月
松本清張 平成四(一九九二)年八月
松本清張 中上健次 平成四(一九九二)年八月
中上健次 平成四(一九九二)年八月〔ほか〕
著者等紹介
水上勉[ミズカミツトム]
1919・3・8~2004・9・8。小説家。福井県生まれ。立命館大学国文学科中退。種々の職業を経て、1948年、宇野浩二の推薦でデビュー作『フライパンの歌』を刊行、文壇に知られる。その後生活上の困難を抱え洋服の行商に従事する日々を送るが、松本清張の影響を受けて推理小説を書き始める。『霧と影』『海の牙』などが直木賞候補となり、61年、「雁の寺」で直木賞を受賞。底辺から社会を見つめる姿勢を忘れることなく、生涯執筆をつづけた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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