出版社内容情報
軽蔑してくれ、悪意を向けてくれ、人間が人間にしかできない感情をむき出してくれ。
早乙女真琴(さおとめまこと)は新進気鋭のアーティスト。高校在学中に美術評論家・影塚孝志(かげづかたかし)の薫陶を受け、日本最高峰の美術大学の絵画科で銅版画を学び頭角を現した。影塚は画壇に君臨し、評価した作品は軒並み価格が高騰、作者は時代の寵児となることが確約されるほどの力を持っていた。影塚の援助とその代償を払い早乙女はさらなる高みを目指すが……。
内容説明
早乙女真琴は新進気鋭のアーティスト。高校在学中に美術評論家・影塚孝志の薫陶を受け、日本最高峰の美術大学の絵画科で銅版画を学び頭角を現した。影塚は画壇に君臨し、評価した作品は軒並み価格が高騰、作者は時代の寵児となることが確約されるほどの力を持っていた。影塚の援助を受ける代わりにその代償を払い早乙女はさらなる高みを目指すが…。メフィスト賞作家が描く、飢え、渇いた人々の物語。
著者等紹介
柾木政宗[マサキマサムネ]
1981年、埼玉県川越市生まれ。ワセダミステリクラブ出身。2017年『NO推理、NO探偵?』で「メフィスト」座談会を侃々諤々たる議論の渦に叩き込み、第53回メフィスト賞を受賞しデビューを果たす(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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slice
4
ヤマアラシのジレンマではないが、『人と人は傷つけあう』という言葉はそこかしこで耳にする。しかしながら『どのように傷つくか』に着目した指摘は耳にしたことがない。では、人間はどのように傷つけあうのだろうか。その回答のひとつが本書『食刻』であると言えるだろう。銅版画家・早乙女の視点で描かれる芸術界の腐敗や人々の悪意、欲望は鋭く、容易に咀嚼できる代物ではないが、ある種の爽快感さえ感じさせるほどの見事なリーダビリティと、限界まで練り込まれた展開、細部まできめ細やかな言葉遣いが、圧倒的な推進力をこの物語に与えている。2025/03/22
耳住 水句
2
面白かった。主人公の卑屈で厭世的な内面が伝わる地の文に読者の自分も腐蝕させられた気がして、けっこう心にささった作品だと感じた。登場人物のコンプレックスや傲慢が彼らのアイデンティティに深く関わっていて、奇行や醜態を晒して周囲の人間を巻き込んで破滅に向かってしまう心理にゾっとしてしまう。作中にひとりだけ良識をもつ人物がでてくるけど、彼の恵まれた境遇や前向きな姿勢に主人公が拒絶感を持ってしまって逆に腐ってしまうシーンがあり、やるせなさに心をノックアウトさせられた。2025/05/29
無添
1
22025/04/27
planetarium
0
主人公がキモくて歪みすぎていた。著者の精神状態が心配である。2025/05/09