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出版社内容情報
ずっと言えなかった思いを母に打ち明け、自分を取り戻していく紫。不登校になり始めた娘の葵に寄り添う茜。26年の時を埋めるように再び友情を結ぶ二人。一方、我が子・ましろが性被害を受け動揺する今井と、夫への不信が芽生える紅子。そして今井の心に、新たな思いが浮かび上がる。26年前、彼女を守りたいと願ったあの “恋”は、間違いだったのか――。“恋”や“アート”という名の暴力。時を経て共闘するシスターフッド。各メディアで話題となった、創作と性加害をめぐる問題作ついに完結!!!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
21
この連載が始まった時、渡辺ペコは難しくデリケートな主題に挑むんだなと思った。それは長年のファンとしての感嘆であったし、正直に吐露すれば若干の不安でもあった。けれど彼女は、見事に完走した。しかも、安易な着地点でお茶を濁すのではなく、主題を突き詰め、そんな物語を読みながら同じように考えてきた読者と並走するようにして、この漫画のラストにふさわしい場所へと辿り着いたのだ。長い時間を掛けた末の加害者が口にする謝罪の言葉。それは被害者を救うのか。単に「許されたい」とする加害者の自己都合なのか。(つづく)2025/06/07
パンダプー
12
気持ち良い終わりだった。、2025/02/23
スウ
8
不穏な展開が多くて読むのがしんどかったけど、一応、すっきり清算出来た印象。過去の傷は癒えなくても、加害者が罪を認識するとしないじゃやっぱり違う。自分の子どもが性被害に遭って初めてそれに気づくというのも遅いけど、14歳と21歳では誤解が生じやすい微妙な年齢ではある。だからそれが正当化されやすく、現にそこを励ましの材料にする男性もいた。子どもの自由意志という言葉は、判断力の未熟な人に自己責任だと突き放すようなものなのだと思った。それはさておき、女ふたりの友情は羨ましかった。2025/05/24
猪狩 紀恵
7
「大団円」 なのかな? 謝られたから、理解されたから、同じ思いをしたから、、、、 その人のことを許さなくて良い。 許さなくても気持ちにケリをつけることはできて、それでも人生は続く。 そして許されなくても謝るべきだし、傲慢さを恥じること。 人間の気持ちの中で「傲慢」というものが悪魔。それを手放すことで少しだけ成長できるのだね。2025/04/03
かつみす
4
これまで読んできた渡辺さんの漫画より、ずっと深刻な主題を扱っている。14歳の時に塾講師の今井と関係をもった紫と、彼女からのSOSを見て見ぬふりした友人の茜。歳月が流れ、彫刻家となった今井に自分の裸体を作品化された紫は、茜の助けを得て、自分の尊厳を取り戻すため立ち上がる。芸術の名のもとに他者の心身を侵害することを否定するメッセージがあり、発される言葉すべてに重みがある。それに絵も負けていない。傷だらけになりながら自分を取り戻そうとする女性たちの表情が繊細に描かれていて、彼女らに向ける描き手の優しさを感じた。2025/07/10