出版社内容情報
老後の不安と欲望をエネルギーに、百花繚乱の「老い本」ワールド――そこに映し出される私たちの無意識とは? 名エッセイストが読み解く「老い」のニッポン精神史。
先人・達人は老境をいかに乗り切ったか。
内容説明
老後の不安と欲望をエネルギーに、咲き乱れる「老い本」の世界―そこに映し出された私たちの無意識とは。先人・達人は老境をいかに乗り切ったか。名エッセイストが読み解く「老い」のニッポン精神史。
目次
第1章 老いの名作は老いない(迷惑をかけたくない―『楢山節考』;いつか、自分も―『恍惚の人』;マンガが見つめる孤独―『いじわるばあさん』;古典の老いと理想―『竹取物語』『枕草子』『徒然草』『方丈記』)
第2章 老いをどう生きるか(百歳の人間宣言;定年クライシス;六十代―老人会のフレッシュマン;「乙女老女」は未来志向)
第3章 老いのライフスタイル(一人暮らし;おしゃれの伝承;おばあさんと料理;田舎への移住)
第4章 老いの重大問題(金は足りるのか;配偶者に先立たれる;「死」との向き合い方;老人と性)
著者等紹介
酒井順子[サカイジュンコ]
1966年、東京都生まれ。高校在学中から雑誌にコラムを連載する。大学卒業後、広告会社勤務を経て執筆に専念。2003年に発表した『負け犬の遠吠え』がベストセラーとなり、婦人公論文芸賞、講談社エッセイ賞をダブル受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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trazom
125
「老い」を主題にした古今の書籍を辿るユニークな一冊。「老い本」の嚆矢は「楢山節考」(迷惑をかけない)と「恍惚の人」(いつか自分も…)。老い本のスターが佐藤愛子/樋口恵子/曽野綾子なら、老い本を書かないのが、ずっと乙女の黒柳徹子/角野栄子や、ずっとおしゃれな幸田文/白洲正子。配偶者に先立たれて悲愴な男性陣(江藤淳/城山三郎/加藤秀俊)と、凛としている女性陣(田辺聖子/半藤末利子)の対比も成る程。酒井さんの理想の死に方は永井荷風だと言うが、私は「方丈記」の死生観が最もしっくりくる。巻末の「老い本年表」もいい。2025/01/05
シナモン
105
私もそろそろ「老い本」が気になる世代。「老いスター」方の指南を胸に豊かな老年ライフを送りたい。「老い本年表」が素晴らしいです✨ 2025/02/17
tamami
68
著者の酒井さんは、名前は疾うに存じ上げていたが著書は初読み。タイトル通り、老いについて書かれた著作(老い本)を丹念に拾い上げ、内容と著者について丁寧にまとめている。巻末には、昭和32年の深沢七郎『楢山節考』に始まる「老い本年表」が掲載されていて、本書の内容をデータ的にも確認できる。本書では、多様な著者による多くの老い本が紹介されていて、どれも著者独自の視点から書かれているものが多く、必要に応じて選ぶことができ、高齢者の一人としておーいに参考にしたいところだ。「老い本年表」の本を丹念に読み込んだ著者に敬服。2024/12/03
とよぽん
57
タイトルにはあまり食指が動かなかったが、内容は実に面白かった。久しぶりに酒井順子さんの新書を読んで、その広い視野と調査取材の確かさに改めて恐れ入った。「老い本」とはなかなか! 人生100年時代という長寿社会になった日本では、長~い高齢期をいかに生きるかが大きな問題。個人にとっても、社会全体にとっても。「老い本」を分析して、書き手が男女の違いや時代背景、世代による差異が明らかにされたのも面白かった。あえて「老い本」を書かない黒柳徹子さん、角野栄子さんに、ハッとした。また、妻に先立たれた男性の末期の哀れさも。2025/04/27
おかむら
29
酒井さんの新刊は最近とみに増えてる気がしてた老人本ブームの分析。けっこう昔から若年寄り作風の酒井さんにはうってつけの題材!小イヂの悪さがそこかしこに冴え渡る。楽しい!「90歳」とか「102歳」とか「87歳」とか、ほんとに書名に高齢が入ってんの多いよねえ。私も老人界隈に参入してるので巻末の老い本年表の本を10冊以上は読んでたもん。素人シニアの一人暮らし本は女性のしかないってホントだわ。おばあちゃんはカワイイけど爺さんはビジュアル面で劣る…。あと配偶者先立たれ系の男女差んところも面白かったー!2024/12/16