出版社内容情報
「たった11ミリ。小指で押した先ほどの的を通して、人は世界を見ている」
不器用な青年・野宮恭一(のみやきょういち)は視能訓練士として着実に力をつけていた。ある日、野宮が喫茶店で出会ったのは、世界を立体的に見ることのできない四歳の少女・灯(あかり)だった。限られた時間の中で灯の訓練を重ねるうち、野宮はロービジョンの小学生や糖尿病網膜症の漫画家など、さまざまな悩みを抱えた人々に出会う。目に宿る奇跡に向き合い、野宮が見つけた答えとはーー。
内容説明
不器用な青年・野宮恭一は視能訓練士として着実に力をつけていた。ある日、野宮が喫茶店で出会ったのは、世界を立体的に見ることのできない四歳の少女・灯だった。限られた時間の中で灯の訓練を重ねるうち、野宮はロービジョンの小学生や糖尿病網膜症の漫画家など、さまざまな悩みを抱えた人々に出会う。目に宿る奇跡に向き合い、野宮が見つけた答えとは―。
著者等紹介
砥上裕將[トガミヒロマサ]
1984年生まれ、水墨画家。『線は、僕を描く』で第59回メフィスト賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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starbro
265
砥上 裕將、4作目です。「7.5グラムの奇跡」の続編、視能訓練士成長譚連作短編集の感動作でした。キラニャン大活躍です。私は、軽度の緑内障で眼科に定期的に通院していますが、目の検査全般的に苦手です(笑) https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=00004032282025/01/28
hiace9000
178
続編でも相変わらず不器用な野宮。しかし彼はどこまでも真剣に症例と向き合い、真摯に患者に寄り添い、周囲の多くの人々と関わることで一人前の視能訓練士として、スキルも人間的にも大きく成長をしていく。私たちは「見えること」が当たり前と思い生活している。それは決して当たり前ではない。今作では、緑内障、外斜視、糖尿病、動脈閉塞、急性内斜視等の疾患と悩みを抱えた人々が繊細な筆致で描かれる。「見えること」の幸せ、その目に宿る奇跡の光を守らんとする眼科医療者の情熱と熱量こそが、この作品が放っている未来を照らす光に違いない。2025/02/18
のぶ
178
前作の「7.5グラムの奇跡」同様に楽しめた。視能訓練士、野宮恭一を主人公とした「7.5グラム」がその新人篇だとしたら、本作はその成長篇ですね。本作5章それぞれで、目に障害が起きた患者が登場するが、一貫して登場するのが4歳と幼い灯(あかり)という女の子。喫茶店ブルーバードでたまたま灯の異常に気づいた野宮、母親の麻木夕美に説明し眼科受診を勧めます。その灯との出会いから、野宮の頑張りと奮闘が始まる。この灯ちゃんの健気さと頑張りが章を追うごとに成長していって嬉しく感じられた。野宮の成長も読んでいて頼もしい。2025/01/15
ムーミン
171
7.5グラムに続く11ミリ。目に関する知識にも大きな学びがありましたが、仕事を通して人と向き合うこと、仕事することの本質について、共感できることが多くありました。2025/03/30
hirokun
171
★4 視能訓練士 野宮恭一シリーズの2作目との事。私は前作を未読であるが、この作品に問題なく入っていくことが出来た。私は、若いころから眼圧が高く緑内障の疑いがあるとの事で、定期的に眼科に通院しており作中に出てくる検査機器についても馴染のあるものであった。視能訓練士という職種については聞いたことがなかったが、仕事に取り組む姿勢と単に仕事の技術の成長にとどまらず、主人公の人間としての成長については、微笑ましく感じられた。2025/01/27
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