講談社文芸文庫<br> 小説家の帰還―古井由吉対談集

個数:
電子版価格
¥2,299
  • 電子版あり

講談社文芸文庫
小説家の帰還―古井由吉対談集

  • ウェブストアに3冊在庫がございます。(2025年05月25日 00時00分現在)
    通常、ご注文翌日~2日後に出荷されます。
  • 出荷予定日とご注意事項
    ※上記を必ずご確認ください

    【ご注意事項】 ※必ずお読みください
    ◆在庫数は刻々と変動しており、ご注文手続き中に減ることもございます。
    ◆在庫数以上の数量をご注文の場合には、超過した分はお取り寄せとなり日数がかかります。入手できないこともございます。
    ◆事情により出荷が遅れる場合がございます。
    ◆お届け日のご指定は承っておりません。
    ◆「帯」はお付けできない場合がございます。
    ◆画像の表紙や帯等は実物とは異なる場合があります。
    ◆特に表記のない限り特典はありません。
    ◆別冊解答などの付属品はお付けできない場合がございます。
  • ●3Dセキュア導入とクレジットカードによるお支払いについて
    ●店舗受取サービス(送料無料)もご利用いただけます。
    ご注文ステップ「お届け先情報設定」にてお受け取り店をご指定ください。尚、受取店舗限定の特典はお付けできません。詳細はこちら
  • サイズ 文庫判/ページ数 288p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784065372487
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

出版社内容情報

小説家としての新境地に至った『楽天記』の連載中の1991年2月から4月にかけて、古井由吉は頸椎間板ヘルニアにより約50日間の入院を余儀なくされる。その経験は小説『楽天記』そのものに影響を及ぼしたであろうことは予想に難くないが、直接的には連載完結後の1992年に次々と雑誌に掲載された対談において詳しく語られることになる。
本書冒頭に置かれた江藤淳との「病気について」はそのストレートな表題もさることながら、病が精神にいかに影響するかという体験を、一見嬉々として語り合っているだけのようだ。しかし、それは迂回しながら肉体というものの本質に迫ろうという試みであったろう。
次の吉本隆明との「漱石的時間の生命力」では直接的に古井の病については触れられていない。しかし、モチーフは「夏目漱石」である。非常に精神的に追い詰められた感のある文学者をめぐるやりとりである。また、漱石を扱うということで、先の江藤との対談をひそかにではあるが承けてもいる。ここでは静かに不穏な空気が満ちていくのである。
続く平出隆との「「楽天」を生きる」と松浦寿輝との「「私」と「言語」の間で」は、年少のきわめて鋭敏な感覚を持つ詩人と、胸襟を開いて会話を楽しんでいるように見える。平出とは『楽天記』という作品について、また松浦とは古井流の散文表現そのものについて、それぞれ深いところまで語っている。
解剖学者養老孟司との短い対談「身体を言語化すると……」では、身体と文学作品の関係についてテンポよく展開されている。使われる表現も平易で、とてもわかりやすい。
掉尾を飾る大江健三郎との「小説・死と再生」は、同時代を生き、かつ年齢の近いもっともすぐれた小説家同士による対話であり、まさに談論風発、小説という表現についてあらゆる角度から話そうとする試みが、読む者を元気づけてくれる。この二人の小説家が歩んだのは、けっして楽な道ではなかったろうが、振り返ってみると素晴らしい旅だったのではないかと想像できるのである。
1990年代初頭という現代日本の曲がり角において作家古井由吉の感じていたリアルを追体験できる貴重な言葉の集積として、この『小説家の帰還 古井由吉対談集』は2024年に再生するのである。

内容説明

小説家として円熟期に入りつつあった一九九一年、長篇小説連載中に古井由吉は約五十日の入院生活を送る。その経験は文章の陰影をより深いものにする。『楽天記』刊行と踵を接するように次々と行われた対談―江藤淳とは病を客観的に見た経験からロマン派の表現が肉体に及ぼす影響まで広く扱い、大江健三郎とは小説を書くという行為の本質を深く掘り下げる―多彩に語られた対話六篇を収録。

目次

病気について―江藤淳
漱石的時間の生命力―吉本隆明
「楽天」を生きる―平出隆
「私」と「言語」の間で―松浦寿輝
身体を言語化すると…―養老孟司
小説・死と再生―大江健三郎

著者等紹介

古井由吉[フルイヨシキチ]
1937・11・19~2020・2・18。小説家。東京生まれ。東京大学大学院修士課程修了。大学教員となりブロッホ、ムージル等を翻訳。文学同人誌「白猫」に小説を発表。1970年、大学を退職。71年、「杳子」で芥川賞受賞。黒井千次、高井有一、坂上弘らと“内向の世代”と称される。77年、高井氏らと同人誌「文体」を創刊(80年、12号で終刊)。83年、『槿』で谷崎潤一郎賞、87年、「中山坂」で川端康成文学賞、90年、『仮往生伝試文』で読売文学賞、97年、『白髪の唄』で毎日芸術賞を受賞。長年競馬を愛好したことでも知られる。また、東京・新宿の酒場において2000年11月から10年4月まで10年近く計29回、毎回ゲストを招いて続けた朗読会でホスト役を務めた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

amanon

5
ちょうど今の僕と同じ年齢の時の対談を収めたものとということで、一抹の感慨を覚える。しかも、それが大病を患った後であるので尚更。いみじくも同じく大病から回帰した冒頭の江藤潤との病気談義はなまじ飄々とした語り口であるがため、その病状のヘビーさがリアルに伝わってくる感がある。そしてこの対談のもう一つのテーマである『楽天記』という小説のタイトルに込められた意味の深さに驚嘆。あの小説をもう一度読み返したくなった。また、本書で幾度となく私小説家であることの自負やその意義について語っているのが面白い。深掘りが必要。2024/10/24

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/22179051
  • ご注意事項

    ご注意
    リンク先のウェブサイトは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」のページで、紀伊國屋書店のウェブサイトではなく、紀伊國屋書店の管理下にはないものです。
    この告知で掲載しているウェブサイトのアドレスについては、当ページ作成時点のものです。ウェブサイトのアドレスについては廃止や変更されることがあります。
    最新のアドレスについては、お客様ご自身でご確認ください。
    リンク先のウェブサイトについては、「株式会社ブックウォーカー」にご確認ください。

最近チェックした商品