出版社内容情報
大友克洋が25-26歳の頃、1979-1980年にかけて制作した2つの中編シリーズ連載を中心に、7篇の短編漫画と見開き連作ショート漫画を収録した作品集。
アフリカ小国の内戦に関与する元ドイツ軍の傭兵たちの戦いを描く表題作『G…..』は、これまで単行本化されていなかったが、ついに全4話(約80p/未完)の収録が実現した“幻の作品”。作中の地上戦や戦闘機の描写は圧巻で、のちの『気分はもう戦争』や『AKIRA』に通じる画力や演出力が漲る力作である。
さらに、往年の名ジャズバンドの来日が巻き起こす騒動と奇蹟を描いた中編『聖者が街にやって来る』全4話や、音楽雑誌「rockin'on」に見開き2pで連載された童話パロディシリーズ『大友克洋の栄養満点!』を全話収録。
その他の収録短編の内訳は『さよならにっぽん』(1981年/双葉社)より2篇、『ヘンゼルとグレーテル』(1981年/ソニー・マガジンズ)より1篇、『彼女の想いで…』(1990年/講談社)より2篇、『SOS大東京探検隊』(1996年/講談社)より2篇。
なお短編『DON QUIJOTE』は、初収録時の単行本ではコマの左右を入れ替え、右開きに改変されていたが、本書では本来の原稿どおりの形に戻し、巻末から左開きで読む形にした。
また雑誌初出時にカラーがついていた短編は、すべて当時のカラーを再現して収録。
※「OTOMO THE COMPLETE WORKS」第6巻
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ねりわさび
75
1979年から1980年までの原稿を収録した全集。マッチ売りの少女はブラックジョークなセリフが現代風に変更、ドンキホーテは初出誌通り左開き収録で表現されている。なぜ表題作などが未完になったのかという謎解きと、Gの幻のラストシーンについての後書きインタビューが掲載されており興味深い。漫画として面白いのでファンだけでなく万人向けで楽しめると思います。全11作品収録。2024/08/30
ぐうぐう
31
既読の作品がほとんどだが、表題作のように初単行本化となる作品もあり、何より、画とストーリーに革新が結実していく手応えを大友克洋が感じていたであろう自信が窺え、それが読者にもダイレクトに伝わってくることの興奮が今巻最大の読みどころだろう。メビウスに傾倒していた時期だとの正直な吐露が巻末の自作解題にあるが、それは安易に線のことを言っているのではなく、背景の大胆な省略といった作画的なテクニックを含めたものであり、それがネームをはじめ、ストーリー構成にも大きく影響を与えているのがわかる。2024/09/08
KDS
5
久々の新刊。本書は10本の短編を収録。既読作品が5作、未読作品が5作とちょうど半々。未読だったものは「大友克洋の栄養満点!」「RUN」「G....」「危ない!生徒会長」「DON QUIJOTE」。中でも異色なのが「危ない!生徒会長」で、なんと少女マンガ。絵柄が他の誰かに描かせたんじゃないかと思えるくらいらしくない。とはいえ所々に大友タッチが見え隠れしている部分もあったりするのだが。これ意外に面白かったりする。もっと読みたい!と思ったのが2頁のおとぎ話パロディが堪らなくシュールな「大友克洋の栄養満点!」😆。2024/09/01
よしおか のぼる
0
久々。2024/08/30