出版社内容情報
東南アジアでの巨大リゾート開発推進のため日本のスーパーゼネコンから現地役員として「島」に乗り込んでいた青木は、資金として投入された莫大な裏金の一部を着服して会社を離れ、計画が頓挫した後も島で隠遁生活を送っていた。現地で飼い殺しにされている元同僚の西村から、カジノを中心とする新たな開発計画の存在を聞いた青木は、その利権に食い込むため動き出す。
一方で青木は、島の男の二番目の妻になっていた日本人の女ミチコを「飼って」いた……。
金、酒、官能、暴力、逆転に次ぐ逆転……大藪春彦賞作家が描くすべてが“過剰”な物語。
内容説明
巨大リゾート開発のためバリ島に赴任したスーパーゼネコン社員の青木は、計画が頓挫した後も退職して島に残り、手に入れた裏金で隠遁生活を送っていた。カジノを中心とする新たな開発プランを耳にした青木は、その利権を狙って動き出す―。金、酒、官能、暴力、逆転に次ぐ逆転の、すべてが“過剰”な物語!
著者等紹介
赤松利市[アカマツリイチ]
1956年香川県生まれ。2018年「藻屑蟹」で第1回大藪春彦新人賞を受賞しデビュー。’20年『犬』で第22回大藪春彦賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
313
久しぶりの赤松作品。ノワールや陰謀小説として読むと、話の筋が単調で、駆け引きが乏しいのだが、ドロついた性愛の描写や、人生負け組を負け組のまま、誇張なく、それでも一種の魅力を持たせて描ききる著者の個性が発揮されていて、ぐいぐい読ませるだけの力がある。バリ島が舞台ということで、土着性というか、舞台の雰囲気が作風にマッチしてもいる。ラストの展開が急すぎて、尻切れトンボになってはいるが、独特のやりきれなさが残る結末は好みだった。でもやはり、主人公の一人相撲感がちょっと強すぎて、中盤にもっと捻りが欲しかった。2024/11/06
lily
11
スーパーゼネコン社員であった青木が隠遁生活を送るバリ島で立ち上がる巨大カジノプロジェクトに、裏社会を含め多くの人間の欲望が絡み合っていく。バリ島は新婚旅行で訪れたところ。ダイビングや観光地をまわった記憶があるが、赤松利市にかかればエグくて過剰にダークなバリ島を思いっきり堪能できる。「どんな発想したらこの物語書けんねん(もちろん良い意味で)」と思ったが、史実に加え著者自身がバリ島との往復生活をしていたとか。バッドエンドが多い著者の作品の中では落ち着いたラストも良く、一気読み。2024/10/14
モーモー
10
スーパーゼネコンだった社員アオキが裏金を持ち逃げ、バリ島で陰遁生活を過ごすことから物語はスタート。 利権の前で人間が少し壊れかけた登場人物たちが繰り広げる人の闇の部分。 楽しめました2024/10/24
カノープス
2
読み進むうちに見えてくる作品の全容から、リゾート開発のビッグマネーを巡る騙し騙されのコンゲームかと期待に胸踊らせた。しかし、終盤に向かうにつれ頭脳戦の要素が排除されていくと、みるみるテンションは下がってしまった。多様な要素が盛り込まれている。それは何ら問題ない。もどかしいのは、それらの要素がメインストーリーを彩るものではなく、本筋と同等なくらいの勢いで物語を侵食しているように感じてしまう事だ。大きなスケールで物が書ける人だと思う。ロス・トーマスみたいに…とは言わないが、よりストレートな騙し合いが読みたい。2024/11/30
辻本 敏久
1
ドMにはたまらん。2024/11/23