出版社内容情報
妻は自分のモノ。子供たちも自分のモノ。金を稼いでくるのは俺なのだから、家族は俺の言いなりにならなくてはならない。
郊外の住宅地に住む五十代の専業主婦、新井妙子。
ある日、隣の家で殺人事件が起きる。被害者の隣人が著名な大学教授だったこと、一人息子がいたことを、妙子は事件を通じて初めて知る。
平穏そうに見えた隣家で何が起きていたのかーー事件はやがて、妙子自身の家庭の闇をあぶり出していく。
『誰かがこの町で』で「同調圧力」を、『シャドウワーク』で「DV」を描いた異能のミステリー作家、今度のテーマは、この国に根深く残る「家父長制」!
内容説明
郊外の住宅地に住む五十代の専業主婦、新井妙子。ある日、隣の家で殺人事件が起きた。被害者の隣人が著名な大学教授だったこと、一人息子がいたことを、妙子は事件を通じて初めて知る。平穏そうに見えた隣家で何が起きていたのか?事件はやがて、妙子自身の家庭の闇をあぶり出していく。
著者等紹介
佐野広実[サノヒロミ]
1961年横浜生まれ。1999年、第6回松本清張賞を「島村匠」名義で受賞。2020年『わたしが消える』で第66回江戸川乱歩賞受賞。『新青年』研究会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いつでも母さん
148
ここまで不完全が揃った男がいるのが怖すぎる。人として最低過ぎる。だが、この夫の吐いた言葉に思い当たる節はある私だ。ここ迄とは言わないが、昭和ど真ん中に生まれた人なら多少は感じた事があるのでは?だが時は令和。私より下世代の両親がこれか・・よくぞ子供たちが真っ当に育ったものだ(そこ?)共感できることはほとんどないが、妻である妙子の最後の(行きついた)行動を私は否定できない。むしろ遅い!今作のモヤモヤむかむか感をどうしよう・・ハッ、これが氾濫と言うことか?2025/02/13
ゆみねこ
79
過去に読了したどの本の登場人物より最低最悪の男が出てくる。郊外の住宅地に住む専業主婦の新井妙子は隣家で起きた殺人事件に心が揺れる。平穏そうな大学教授の一家に何があったのか?やがて妙子の家の中でも問題が露わになり、夫のとんでもない闇が。今どきこんな男尊女卑な夫に支配される妻がいるのだろうか?考えることさえ出来なくなるほど洗脳されるのか…うーん。。2025/06/11
itica
77
隣家で起きた殺人事件。それがまさか我が家の崩壊への兆しだとは思いもしなかった主婦の妙子。モラハラ夫、家に寄り付かない子供たちと、外からは伺い知れない歪な家庭。夫にむかつき、妙子に苛立ち、一部不満を溜め込むような読書だった。この家庭の構造が、社会の構造の第一歩だとしたら笑うに笑えない。とても意味深だ。 2025/02/04
オーウェン
61
専業主婦の新井妙子が住む隣の家に警察が入っていき、旦那が殺されていることが分かる。 妙子の家にも刑事が聞き込みにやってくる。 ミステリではあるのだが、誰が殺したのかという謎ではなく、妙子自身の抑圧された生活を描くドラマ。 今のコンプラを無視したかのような昭和の夫に対し、従順な妻になっている妙子。 娘や息子にも飽きられる始末であり、いかにして妙子が自身を取り戻していくかに焦点が。 ラストの解放感のようなやり取りにはスカッとする。2025/06/28
ケイト
61
隣の家で起きた殺人事件。それをきっかけに妙子の家の闇が炙り出されていく。今も根強く残っている『家父長制』いつの時代の話なんだか?このモラハラ篤志の言動に始終腹が煮えくり返る。篤志の会社の実態にも驚くが、さすがに酷すぎる。こんな家で娘も息子もまともに育ってくれて奇跡かもしれない。災害レベルの男を変えることは出来ないので、逃げることは必至。2025/04/12