出版社内容情報
十代のあなたに会いにいこう。
声を殺して泣いた日も、無理して笑ったあの日も。
ぐっと押し込めた心の痛みを、君嶋彼方は掬いとる
■収録作品
走れ茜色 「僕と同じ人を好きな君。だからこの嘘は、絶対に隠し通す」
樫と黄金桃 「中学時代の忘れたい過去。あの子だけがそれを知っている」
灰が灰に 「屋上で出会った不良。みんな怖がる君の本心を知ってみたい」
レッドシンドローム 「偶然見つけてしまった親友の裏アカ。一体どうしてこんなこと」
真白のまぼろし 「初めて漫画を描いていると話せた友達。一緒に描こうと決めたのに」
青とは限らない 「唯一心を許せる男友達。男女の友情って成立しないの?」
大人になれば忘れてしまう、全力でもがいたあの日のこと
『君の顔では泣けない』の著者最新作
読むならここから!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
J D
98
読み終わっても、夕闇に染まるグラウンドを校舎の2階辺りからぼーと眺めている自分がいる。そんな情景が消えない作品だった。男女の友情は成立するのかなとか自分のテリトリーを必死で守る若気の至り、友情に常に疑心を抱く青春の過ち。そんなほろ苦くも青臭い青春がここにはあった。一つの教室を舞台に展開する青春の輝き。大人びた青春、青過ぎる青春。ここにはたくさんの青春があって、読む者を引きつける趣向も凝らしてあって読みやすい。君嶋彼方さん、また、読んでみたい作家さんとなった。2025/03/11
みかん🍊
95
高校生達の連作短編集、誰と誰が繋がっているのかと考えつつ読み進める、青春と言っても様々、関係ないと鬱々とした人や謳歌している人ジェンダレスの時代男女が仲良くしていたら恋愛とは限らないし様々な関わり方繋がりがあり思いがある、最後はなるほどそういう事だったんだ、青ではなく茜色夕暮れの教室もいい。2024/10/02
やも
92
またもや胸にピリッとグッと来る話が読めた。学生時代の忘れたいような、忘れられないような、忘れたくないような。黒歴史とも言えるかもしれない、誰もが感じたことがある苦くて熱い、一所懸命というよりは必死な気持ち。追いかけたかったり、逃げたかったり、留まりたかったり…学生時代の色んな居場所。どうしても見つけたい自分の居場所。たしかにその場所が青い春だなんて、誰が決めたんだろう。そう思って読み終えると、タイトルの【春のほとりで】が、眩しいだけのド青春に入りきれなかった感が出てていいね。2025/03/02
チーママ
86
な・る・ほ・ど・ね〜。いや〜お見事。君嶋さんは初読みだったが、読みやすいし、共感できるし、テンポが良くて私には要チェックな作家さんになった。とある高校に通う生徒らのリアルな日常を描いた短編集。誰しも思いあたる普遍的な内容が題材なだけに、当時の自分と重ね合わせながら読む人もきっと多いはず。キュンとしたり、ウジウジ悩んだり、ダークな部分も描かれて…。青春時代は過ぎてみれば美しい思い出だけど、それだけじゃなかったでしょ?というスタンスがいい。確かにそうだった。これは二度読みしたくなる本。メッチャ面白かった。2024/10/25
もぐもぐ
84
めっちゃ良かった!とある高校を舞台にした六篇の連作短編。高校生ならではの恋心や友情、葛藤、嫉妬、さまざまな想いが瑞々しく描かれていて、多くの人が自分の高校時代を思い出して懐かしく、でも切なくなるのでは。一人一人それぞれの青春が愛おしい。最後の話にちょっとしたサプライズ、とても素敵な終わり方でした。どの話も良かったけど、冒頭の「走れ茜色」が大好きです。2025/02/21