出版社内容情報
ひょんなことからひとの「息」が見えるようになった京都の高校生・夏実の物語。
どんな世界になっても息づくいのちの躍動を描いた青春小説。
コロナウイルスという「目にめーへんややこしいもん」にも変えられないもの。
突然の休校や陸上大会の延期、急なモテへの戸惑い、そして受験と進路……
コロナ禍の「青春のかたち」を切り取った、待望の作品集。
息は、光は、そこにある。気に留めるか、留めないか、そのちがいがあるだけ。
内容説明
「目にめーへんややこしいもん」にも変えられないもの。突然の休校や陸上大会の延期、急なモテへの戸惑い、そして受験と進路…。コロナ禍の「青春のかたち」を切り取った、待望の作品集。
著者等紹介
いしいしんじ[イシイシンジ]
作家。1966年大阪生まれ。京都大学文学部卒業。1994年『アムステルダムの犬』でデビュー。2003年『麦ふみクーツェ』で第18回坪田譲治文学賞、2012年『ある一日』で第29回織田作之助賞、2016年『悪声』で第4回河合隼雄物語賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シナモン
99
舞台はコロナ禍の京都。ランニング中にバットが後頭部を直撃、その日からひとの吐く息の色かたちが目に見えるようになった女子高生の物語。なんと面白い設定。京都弁がふんだんに盛り込まれ、読むのがちょっと大変だったけど、京都の日常をたっぷり感じられた。優しさのなかに光と風を感じる一冊だった。2024/09/25
花ママ
61
息のかたちが見えるという、今まで読んだことない設定でしたが、コロナ禍の京都が舞台となれば、なんとなく納得。走ることが大好きな陸上女子夏実の素直さにホッ。茶道の先生もしているおばあさんが雰囲気が柔らかで、京ことばでいうはんなりさん。京都の雰囲気を存分に感じながら読了しました。2024/10/17
もぐもぐ
49
高校2年で突然”周りの人の息の形”が見えるようになった夏実。どうやら遺伝らしい。不思議設定で始まった物語でしたが、コロナ禍での17歳の青春が鮮やかに伝わってきました。家族の仲の良さも気持ちがよかったです。コロナ禍って本当息苦しかったなー、って思い出して深く息をつきたくなりました。 #NetGalleyJP2024/08/28
れっつ
41
「純文学」な印象。ストーリーの流れや行き着くところよりも、その瞬間瞬間の情景や感じたことにフォーカスされ、その集まりで物語ができているよう。ある時バットが頭部に当たったことで、人の息が色形をもって見えるようになった夏実。実は父や祖母も"見える人"。目に見えない得体の知れない何か、に振り回されたコロナ禍の真っ只中で、変わったこと変わらないもの新しい感覚がいろいろ思い浮かぶ。叔母や父や祖母に見守られながら、夏実は自分を受け入れ成長していく。全編通して描写や比喩表現が美しい。"生きる"とは、"息する"こと。2024/10/11
まる子
28
これは高校生の夏実がコロナ禍の中で経験した話である。ある日、金属バットが頭に当たった。その日以降、人の「息」が見えるようになった。色、形、人それぞれ。これは遺伝らしい。夏実と同じ「息が見え」て、さらに彼女より息使いの名手?袋田京一との出会い、二学期に学校に行ったらモテ期到来か?!何が起こっているのかついていけない本人をそっちのけ(笑)キモいけど父ちゃんの遺伝か?陸上一筋だった夏実は、大学は美術の道を受験するらしい。さて、彼女はー。不思議な話しだった。#NetGalley2024/09/07