出版社内容情報
ルワンダの山岳地帯にあるカトリックの寄宿制女子校で起きる、小さな差別、区別、妬みや羨望。女性エリートを育成する学校の生徒たちは、誇り高く規律を守った日常を送るが、それぞれの「うまくいかない日々」への不満は、大きな溝に取り込まれていく。誰しもが持つ小さな負の感情は、いつしか避けがたい衝突へと導かれ……。
内容説明
ルワンダの山岳地帯にあるカトリックの寄宿制女子校で起きる小さな差別、区別、妬みや羨望。女性エリートを育成する学校の生徒たちは、誇り高く規律を守った日常を送るが、それぞれの「うまくいかない日々」への不満は、大きな溝に取り込まれていく。誰しもが持つ小さな負の感情は、いつしか避けがたい衝突へと導かれ…。ルワンダ虐殺から30年。争いを繰り返さないための、ただひとつの道。和解のためにはまず、なぜ分裂したかを理解しなければならない。ルノードー賞受賞。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヘラジカ
37
仏語文学という以外に事前情報を入れていなかったため、中盤までは女学校を舞台にした学園もの小説として少し油断していた。植民地政策の禍根、貧富や人種間で生み出される断絶から、更にミニマムな欲求やエゴの醜悪さなどがギラギラ強烈に描き出されていき、怒涛の展開で迎える終盤のカタストロフには暫し呆然となってしまった。意想外に重々しい読後感。ルワンダの暗黒の歴史を垣間見ることになるとは思いも寄らなかった。序盤でシスターフッド的な友情の物語を予想していただけに鈍器で殴られたようだ。2024/07/21
のりまき
18
面白かった。ルワンダの山岳地帯にあるカトリックの寄宿学校での日々。女子エリートを育成する目的。政府の要人の娘や裕福な子どもがいる一方、卒業証書を得て何とか貧しい家族をそこから救おうと考える子もいる。ツチとフツの対立は植民地時代のベルギーが原因であること、更に差別されるトワが存在すること、土着の信仰に絡み付く押し付けのキリスト教。興味深いことがたくさん。女子のいざこざのように見えていたのに、根深い問題をうまく描いてくれてた。2025/02/05
一柳すず子
4
ルワンダのベルギー系女学校が舞台。生徒はそれぞれ親の仕事に引っ張られてる。後の大虐殺にもつながる確執から取り返しのつかない騒動が起こる。ヴィルジニアが著者の投影なのかな。呪い師とかも出て来て興味深いけどフツのツチへの憎悪が怖い。美形が多いから嫉妬もあるのかなと思った。2024/11/10
ボウフラ
3
ルワンダの女性エリートを育てる目的のカトリック系の寄宿学校での物語。ルワンダ虐殺が起こる前兆のようなツチとフツの対立が描かれている。土着的な風俗とベルギーの植民地政策に伴う西洋化がせめぎあっている。85点2025/02/26
katariha
3
周りに伝播する疑心暗鬼に、追われる身に何ができるというのだろう。壊れた像に新しい像を当てがえばそれで終わりではなく、返って私たちの中にいる怪物を大きく養うことになるかもしれない。始めから、既に戻ることはできない。2024/12/12