出版社内容情報
京都大炎上!
金閣、銀閣燃え落ち、「?燭」に火がともる時。
次、焼かれるのは――「お前」だ。
広域連続放火殺人事件に挑むのは、宇宙還りの女子高校生。
宇宙ホテルでの連続殺人事件から無事に帰還した京都の女子高生真田周は、大気圏突入時、行方不明の友人へ向けて音楽配信をしたことで「人が死んだのに不謹慎だ」と、SNSで炎上してしまう。まるで事件の加害者かのような扱いを受け、迷惑系動画配信者が現れるなど、日常の通学すら困難になっていく。ある日、地球帰還時のアーカイブ動画に不穏なコメントが書き込まれた。
「まずは金閣寺を燃やす」
半信半疑の周の目に映ったのは、予告通り黄金色に輝きながら燃え落ちる金閣だった。
その場には、行方不明の友人・瞳子の姿。あの子がこの炎上を引き起こしたのか?
哀しみの劫火が、京都を襲う。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りらこ
20
京都を舞台に、実際にありえないと思いたい事件が頻発。 なんと金閣寺が燃えてしまう。犯行予告どおりに。 宇宙旅行の帰還時の生配信に始まり、京都の街のあちこちで起きる事件のスピード感と、明らかになっていく背景に、ページをめくる手がとまらない。主人公の周の行動力と、台詞に惹かれた。 2024/04/26
ほたる
8
『星くずの殺人』を経ての今作。テーマは炎上で京都が炎に包まれる。なぜこの事件は起きているのか。その動機には思わず唸ってしまい、考えずにはいられない。そうかそれを思い知らせるためなのか。壮大な事件から導かれる真相は前作と同じまたはそれ以上に心に響く。2024/04/27
ユウハル
4
扱うテーマが重いのだが、周の口調が軽いところが一息つける清涼剤だった。そこがメリハリとなってとても読みやすかった。 友達のための配信した動画が炎上してしまい巻き込まれていった周。動画のコメント欄で行われた放火予告。被害者、加害者、その家族が巻き込まれてどのような扱いになるのか、正しい解決策はあるのか。 過剰な正義感によって加害者になり得ることもあると各自で認識しなければならない。誰もが認識していれば少しは悲しくて辛い思いをする人が少しずついなくなるのではとも思った。2024/04/25
つー
0
☆4 金閣寺を皮切りに、京都の名所が次々に炎に包まれるという哀しみと緊迫感溢れるド派手な設定の中に、加害者家族・被害者家族という重く難解なテーマを含んでいて、そのメッセージ性に心打たれた。 事件の裏にはどんな事があるのか。表層的な部分ではなく、背景や他者の気持ちを考えた言動を心掛けようと思えた。 ネットが普及し便利ではある反面、人を簡単に傷つけることもできる今だからこそ、読んでもらいたい全人類必読の傑作。2024/03/29