出版社内容情報
油絵画家の井口は、泥棒に転職した蓮野を連れて、数十年前に置時計を譲ってもらった、ロデウィック氏という発明家の富豪の元へ訪れる。
芸術に造詣の深いロデウィック氏は後日、井口の絵を見るために彼のアトリエに訪れるが、立てかけてあった絵を見て、「この絵とそっくりな作品を見た憶えがある」と気が付いてーー?
未発表の絵の謎を追って、井口と蓮野が大正時代を駆け回る!
『方舟』『十戒』で話題の夕木春央、最新作!
内容説明
盗作犯を探し出せ。油絵画家の井口は、元泥棒の蓮野を通訳として連れて、祖父と縁のあったオランダの富豪、ロデウィック氏の元を訪ねた。美術品の収集家でもあるロデウィック氏は翌日、井口のアトリエで彼の絵を見て、「そっくりな作品をアメリカで見た」と気が付いた。未発表の絵を、誰がどうして剽窃したのか?盗作犯を探すうちに、井口の周りで戯曲『サロメ』に擬えたと思われる連続殺人が発生して―。
著者等紹介
夕木春央[ユウキハルオ]
2019年、「絞首商会の後継人」で第60回メフィスト賞を受賞。同年、改題した『絞首商會』でデビュー。『方舟』で「週刊文春ミステリーベスト10国内部門」「MRC大賞2022」第一位(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
268
夕木 春央、4作目です。本書は、大正浪漫サロメ見立て猟奇復讐譚でした。『方舟』&『十戒』とは趣が違います。著者はユダヤ教徒なのでしょうか❓ https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=00003867142024/03/27
青乃108号
257
「方舟」で大ヒットをカッ飛ばし、続く「十戒」で壮絶にズッコケた、夕木春央の知らなかった別シリーズの何作目かも判らずに適当に読み始めた。単体でも十分、楽しめます、この作品。結構、ミステリーは好きで色々読んでいる俺は、自分で推理しながらという読み方は殆どしないというか出来ないのだけど、この作品で推理せよっ、たって無理ですって。登場人物多いし情報量半端ないし連続殺人起こるし誰が探偵かすら判らない。必死に読んで漸く迎えるクライマックス。その絶望的状況と緊迫感の中で明かさせる全ての謎。そして。嗚呼。是非、読むべし。2024/08/31
パトラッシュ
238
ハチャメチャが定番の元泥棒と売れない画家の迷探偵コンビが、芝居の『サロメ』になぞらえた連続殺人を追う。目の前で異常な人殺しが起きるためか主役2人が比較的マジメに推理していく普通のミステリに近い。絵画の盗作犯調査から贋作集団の存在が浮上するのは余計な感も残るが、ホワイダニットの典型である見立て殺人で読者が納得する論理的結末を用意できるのか危惧していたため、きれいに着地を決めている。犯人の動機が某容疑者Ⅹと似ており、ここまで残酷な殺害方法の必然性に疑問なしとはしないが、ミステリとしては十分合格点に達している。2024/04/11
hirokun
144
★4 大正時代を舞台とした探偵推理小説。前半三分の一はストーリー展開が遅く、私の感性とは合わず途中で止め様かととも思ったが次第に興味が湧いてきて、最後のネタ明かしに向けて一気読み。推理小説の面白さが実感できる作品だった。2024/05/10
のりすけ
132
前半から中盤にかけてが、正直退屈。このシリーズはいつもそうなので、ちびちび時間をかけて「ま、いいか」と読み進めたら、後半でうわぁ!瞬殺に近いKILLはジグソウ先生と違って優しいなー。2025/02/27