出版社内容情報
多崎礼の初期作品「〈本の姫〉は謳う」シリーズを新装版として刊行! 大陸に散らばった『文字(スペル)』を巡る冒険の物語ーー。
内容説明
アンスタビリス山脈の上空を彷徨う浮き島・ラティオ島。“本の姫”とともに文字を回収する旅も終わりが近づく中、アンガスらはレッドの襲撃を受ける。レッドは文字を暴走させ、どんなに求めても得られないものを創り出した世界の滅亡を企んでいた。憎しみの連鎖を断ち切るため、アンガスと“本の姫”、ジョニーは第七聖域と呼ばれるラティオ島へと向かう。「希望」は「絶望」に打ち克つことができるのか―。文字に秘められた本当の意味とは―。2つの物語は遂に完結へ。人を信じる“あなた”に贈るファンタジー。
著者等紹介
多崎礼[タサキレイ]
2006年、『煌夜祭』で第2回C★NOVELS大賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
175
全四巻、1,200頁超完読しました。2,3巻と盛り上がってきて、最後クライマックスはどうなるかと思っていたら、割とあっさり終わりました。進化した多崎 礼の「レーエンデ国物語」のエンディングに期待したいと思います。 https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=00003863982024/06/02
たいぱぱ
57
希望と絶望は表裏一体。絶望に飲み込まれたアンガスに希望は再び現れるのか?西部劇の様な現在と近未来アニメの様な過去、二つの物語が一つに重なって色んな謎が明らかになる。『レーエンデ物語』と並行して読んでいたので、物語は違えど多崎さんの「希望」に託す想いは痛い程伝わりました。46あるスペル(文字)のうち、25番目の「世界」を境に憤怒や憎悪などマイナスなスペルが並ぶが最後の最後に「希望」があるのが全てを現しています。憎悪や憤怒、傲慢に塗り込められつつある現在の世界状況にも希望が現れますように。2025/03/24
mayu
50
2つの物語がようやく繋がった。どんな時でも希望を捨てなかったアンガスが、親友を失ったことに我を忘れ絶望に飲み込まれそうになり、バッドエンドかと心配したが希望は残った。全てが収まるべきところに収まりハッピーエンド。アンガスと姫がスペルを回収し終えて、過去と現在が結ばれ、信じて待ちわびる人のもとへと彼女は帰っていく。読み終わってみれば、ここまでの長い道のりも意味があったのだとわかる。ファンタジーの世界にどっぷり浸れて読み応えがあった。本に触れると物語がヴィジョンとして浮かび上がる、そんな読書体験してみたい。2025/03/12
misa*
36
最終巻だと思えば思う程、読み進めることに終わって欲しくない気持ちもあって葛藤だった。アンガスの希望と絶望の狭間から、終盤に向けてのすべての回収が気持ち良いのと涙が溢れるのとで、感情が大忙し。どういう風に俺とアンガスが重なるのか、姫は何者なのか、すべてが明らかになってからの最後、とにかく素敵でした。レーエンデ国に魅了されてこの作品を手に取ったけれど、こちらもレーエンデ国とは違った世界観が最高でした。もうシリーズは終わってしまったけど、多崎さんの作品は追いかけていきたいと思う。2024/05/03
よっち
32
アンスタビリス山脈の上空を彷徨う浮き島・ラティオ島。〈本の姫〉とともにスペルを回収する旅も終わりが近づく中、アンガスらがレッドの襲撃を受ける第4弾。スペルを暴走させ、どんなに求めても得られないものを創り出した世界の滅亡を企むレッド。その憎しみの連鎖を断ち切るためアンガスと〈本の姫〉、ジョニーが第七聖域と呼ばれるラティオ島へと向かう展開で、伏線を回収しながらアンガスと「俺」のエピソードを上手くまとめながら、2人の関係性やスペルに秘められた本当の意味を明らかにしてゆく展開は、その結末も含めて圧巻の一言でした。2024/05/21