出版社内容情報
【幕末に「志士」たちを生み出した最重要思想書、その全貌を読む!】
―臣ここを以て慷慨悲憤し、自から已む能はず、敢えて国家のよろしく恃むべきところのものを陳ぶ―
「序論」「国体」「形勢」「虜情」「守禦」「長計」からなる全篇の本文読み下し。平易な現代語訳・懇切な語釈を掲載。
さらに参考資料として、正志斎がのちに開国政策を提言した『時務策』を併載!
文政八年(1825)、幕府は異国船打払令を出し、日本近海に接近する外国船全てに対して砲撃を加え、排除することを決定した。会沢正志斎が『新論』を完成させたのは、まさにその直後のことである。
一読するとわかるように、その内容は西洋諸国と直面をせまられ始めた日本全体の、今後の政策を提言するものである。だが、水戸藩主を通じて幕府を動かそうという正志斎の期待は実現されることもなく、また異国船打払令も徹底されずに、沿岸には外国船が自由に航行することが常態化した。
しかし本書は、正志斎の関係者から友人へ、その友人から別の友人へと筆写が重ねられ、日本全国へと広まっていくこととなる。それは匿名の著作ではあったけれども、人々を引きつける何かがあったのは確かであろう。天下太平と呼ばれた時代にあって、その裏にあった言いしれぬ不安というべきものを明らかにした、という理由もあろう。結果的にこの書は、全国の志ある多くの人々を目覚めさせることとなった……
*本書は訳し下ろしです。
内容説明
文政八年(一八二五)、幕府が異国船打払令を発した直後、本書は成った。西洋との直面が避けられない現状を冷徹に見据えた安全保障政策と、「国体」を重んじることを訴えるこの提言書は、時の為政者に容れられることは叶わなかったが、筆写によって密かに全国へ広まり、やがて各地の若者たちを「志士」として目覚めさせた。幕末を動かした思想書の全貌。
目次
序論
国体
形勢
虜情
守禦
長計
参考資料『時務策』
著者等紹介
会沢正志斎[アイザワセイシサイ]
1782‐1863年。水戸藩士。水戸学者。藤田幽谷に学び、彰考館総裁、弘道館総教(教授頭取)を務める。名は安(やすし)、字は伯民
関口直佑[セキグチナオスケ]
1976年、群馬県に生まれる。早稲田大学大学院社会科学研究科博士課程修了。博士(社会科学)。現在、早稲田大学先端社会科学研究所研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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Ohe Hiroyuki