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出版社内容情報
第17回メフィスト賞『火蛾』で鮮烈なデビューを飾った幻の作家・古泉迦十による24年ぶりの本格ミステリ超大作が、ここに降臨!
大唐帝国の帝都・長安で生ずる、奇怪な連続殺人。
屍体は腹を十文字に切り裂かれ、臓腑が抜き去られていた。
犯人は屍体の心肝を啖(く)っているのではーー。
崑崙奴ーー奴隷でありながら神仙譚の仙者を連想させる異相の童子により、捜査線は何時しか道教思想の深奥へと導かれ、目眩めく夢幻の如き真実が顕現するーー!
内容説明
大唐帝国の帝都・長安で生ずる、奇怪な連続殺人。屍体は腹を十文字に切り裂かれ、臓腑が抜き去られていた。犯人は屍体の心肝を啖っているのでは―。崑崙奴―奴隷でありながら神仙譚の仙者を連想させる異相の童子により捜査線は何時しか道教思想の深奥へと導かれ、目眩めく夢幻の如き真実が顕現する―!第17回メフィスト賞『火蛾』で鮮烈なデビューを飾った幻の作家・古泉迦十による24年ぶりの本格ミステリ超大作が、ここに降臨!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
314
前作がほぼ伝説の作品になってしまっただけに、待たせたことで余計にハードルを上げてしまった感がある。感想としては、見事期待に応えたとはいいがたいもの。多数の登場人物が出てくるが、それぞれ出番が少なく、ライン作業で流れてきてそのまますぎ去っていくような印象で、まったく記憶に残らない。真相に意外性もなく、事件の内容自体もかなり世俗の垢にまみれたところがあり、待ち望んでいたような神秘性や幻想感がない。ラストのオチとか、そういう雰囲気を出そうとしているのかもしれないけれども、単純に上手くいっていない。残念。2025/01/04
雪紫
67
名前伏されて「これはメフィスト賞作家の久々の新作です。誰でしょう?」と聞かれたら、「丸山天寿さん!」と間違う自信がある。「火蛾」の幻想的な雰囲気の後に読んだから、古代中国や一人称「あたし」だろうなな姉御肌九嬢や兜、題名の崑崙奴ーー磨勒のキャラ含め随分エンタメに振り切ったな。と。それでも当時の時代説明だけでなく行き先不明な道教や信仰の知識の海に溺れた先にはとんでもない幻惑を魅せられる。「火蛾」の路線を期待するとあれだけど、最後の最後で大ボリュームなミステリになったなぁ。という凄い読了感。2024/11/30
オフィーリア
57
舞台は唐の都長安。道教・シルクロード貿易・民族信仰、膨大な情報の洪水を小説に落とし込みながらも読みにくさを全く感じさない素晴らしき中華エンターテイメント。次々に溢れ出る情報が都で発生する怪奇な事件達と密接に絡み合い、ミステリとして昇華させた大傑作。最高でした。2024/12/11
rosetta
35
★★★★✭すげ~面白かった!25年待った甲斐があったぜ!メフィスト賞作家の第2作(笑)。先日読んだ『図書館の魔女』の新作が短くて物足りなかったのを埋めてくれるようだった。序章の文体があまりにも格調高くて心配になったが、本章に入ると抜群にリーダビリティが良くて最初はビビった500頁超えも1日で難なくクリア。盛りを過ぎた大暦年間の唐の都長安。腹を十文字に割かれて殺される事件が連続する。友人の名門若手官僚の行方が知れず、調べ始める進士の裴景と京兆府賊曹の兜。宮廷一の権力者中書侍郎の屋敷に私設された→2025/04/22
geshi
29
令和の時代に京極直撃世代のメフィスト賞作家らしさ全開の作品を浴びて懐かしさを覚えた。引用や語句の一つに至るまで作り込まれた文章で唐の時代の長安を顕現させ、中国奇書にこういう作品があったのではと思うほど。若旦那の失踪、臓腑を抜き取られた連続殺人屍体、消えた黄金の謎、どんどんスケールを広げるエンタメなストーリーテリングは思っていた方向性ではなかったが読みやすい。後半で道教のペダントリーが展開され主人公同様に置いてけぼり状態になったし、ミステリとしてスッキリしているのもではないが、場面のひとつひとつが魅力的。2024/12/08